【社説】少子高齢化の克服妨げる女性差別

 労働部が全国の成人男女1000人を対象にアンケート調査を行った結果、「職場での性差別がひどいと感じる」と回答した女性が60.4%に達した。また、最近会社に勤めた経験がある女性のうち37.1%が、「職場で性差別に遭遇したことがある」と回答した。差別の種類は、「賃金の格差」(35.2%)、「昇任をめぐる差別」(26.3%)、「部署の配置をめぐり不利益を被った」(15.0%)の順となった。

 昨年発表された経済協力開発機構(OECD)の報告書でも、韓国の男女の賃金格差は38%に達し、加盟国30カ国の中で格差が最も大きかった。これはOECD加盟国の平均(18.8%)の2倍を超える。こうした賃金格差は、男女間に能力の差があるからだ、という言い訳は通用しない。今年任官した裁判官89人のうち、女性は63人で、全体の71%を占めた。公正な競争が保障される条件の下では、女性が優れた能力を見せているというわけだ。

 韓国の女性の経済活動率(有給の活動に従事し、経済活動人口に含まれる人の比率)は、2008年末現在で54.7%にとどまっている。これはOECDの加盟国30カ国の中で下から3番目だ。子どもを育て、家庭を切り盛りしながら、職場での競争の中を生きていくということは、それだけ大変なことだ。女性たちは子育てのために職場で不利益を被るという判断をし、出産を避けるようになる。世界最低といわれる韓国の出生率は、職場に根強く残る男女差別と密接なかかわりがある。

 出生率の低下は、出産奨励金をいくらか支給するだけで解決する問題ではない。職場で差別を受ける心配をせず、安心して働き、男性に劣らない重要なポストに就く女性が増えてこそ、社会に活力がもたらされる。労働力人口が急激に減少する高齢化社会の問題を解決する糸口も、女性の経済活動への参加を増やすことによって、つかむことができる。

 女性たちが職場で重要なポストに就ける環境を整えることも重要だ。女性の公務員の数は毎年増えているが、地方自治体の5級(課長補佐級)以上の公務員に占める女性の比率は7.6%にすぎない。主要20カ国・地域(G20)のうち、企業や官公庁の幹部会議で女性の姿が見られない国は韓国しかない。今年のG20首脳会議の議長国になった韓国だが、こうした問題を解決しない限り、偉そうに振舞うことはできない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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