前回の記事(「帰化すればいい」という傲慢)について、その後の経緯を説明しておく必要があります。
ツイッター上で宮台真司さんご本人と激しく意見を交換したところ、論点1で指摘した件について、率直な謝罪と撤回の弁がありました。
miyadai:#miyadai デマを言ったとは思わない。だが生活保護は別に社会福祉の受給権の歴史を勉強させて貰いました。特権という言葉は使ってないが、日本人並み云々は撤回します。RT @han_org: ...多数の無礼な表現、申し訳ありません。一方、あなたもデマの流布を謝罪してもらえませんか。 [http://twitter.com/miyadai/status/11284450923]
miyadai:#miyadai デマとは「あえてつくウソ」という意味ですが、特別永住者の社会福祉受給権の歴史について、知っていて無視したのではなく、知りませんでした。ただ僕は研究者なので、査べなかった怠慢は謝罪に値すると思っています。今後もよろしくお願いします。@han_org [http://twitter.com/miyadai/status/11284707876]
ぼくの周囲では、前回の記事や、議論の途中における宮台氏のツイートをお読みになった方の中から、氏の人格に疑問を持つという意見も聞かれました。しかし、見知らぬ者(ぼく)から攻撃的な主張をぶつけられて、率直にそれを認めるなど、なかなかできることではありません。とても立派な態度だと思います。
また、結果としては、特別永住権そのものが「特権」だったということはないと認めていただいたわけで、この点については今後おそらく応援してくださることでしょう。
取り残した議論もありますが、上記の撤回に加えて、「犠牲者非難になっている」という批判に一定の理解が示されたことで、ぼくの批判の中核となる対象は解消されたといえます。
末筆ながら、宮台真司さんには激しい議論にお付き合いいただき、ありがとうございます。また、無礼な表現の数々、失礼いたしました。
以上、取り急ぎ連絡まで。
【BLOGOSさんへ】
転載不可です。
はじめまして、こんにちは。
私は定年間近の高校社会科教員でございます。
滋賀県の白鬚神社への論考(白鬚=新羅説)をネット上で検索している内に、貴ブログと衝撃的な出会いをさせていただきました。
まだわずかな文章を読ませていただいただけですが、たとえば「帰化」問題について、あるいは橋本知事批判に関して、うんうんと頷く、と申し上げると不遜になります、なるほどこう考えればいいんだなあ、とたくさん勉強させていただきました。
今後もじっくりゆっくり読ませていただきます、というご挨拶代わりの無内容なコメントでお庭を汚させていただきました。
では、失礼いたします。
> Terimakasih さん
いらっしゃいませ。
白鬚神社はウチから往復50kmの位置にありますので、自転車のルーティーンコースだったりします。
ロケーションとしては新羅説でもおかしくはないのでしょうが、伝承では猿田彦説ということになっているようですね。
はじめまして。宮台さんとの議論、大変参考になりました。
ところが、ですね。私の在日に対する認識はお二人のものとは微妙に違っていて、地方参政権はもちろんのこと、国籍選択権も法的に不可能というものです。参政権を獲得するには帰化しかない、というものです。
以下のブログのQ&Aに近い認識を持っています。
■在日朝鮮人の国籍と権利をめぐる25のQ&A
http://d.hatena.ne.jp/furukotobumi/20091203/p1
金さんは、SF講和条約までに在日の対人主権を主張した韓国政府の責任はどうお考えですか? また、在日自身が日本国籍を拒絶した事実をどうお考えですか?
短いですが、失礼いたします。
> kgwakira さん
地方参政権も国籍選択権も、宮台氏とは議論のテーマになっていませんが、とりあえず以下のご質問にお答えします。
> 金さんは、SF講和条約までに在日の対人主権を主張した韓国政府の責任はどうお考えですか? また、在日自身が日本国籍を拒絶した事実をどうお考えですか?
ちょっと質問の枠が狭いですね。講和条約がすべてのボタンの掛け違いを決定的にした元凶であることは確かですが、その責は李承晩と同等以上に、吉田茂にある。なにせ韓国は、吉田茂のロビー活動により、講和条約に参加できなかったのだから。
それを踏まえたうえで、あえて国籍選択権の話題に戻るなら、当時の日本政府が法律論的な手続きの正当性よりも、短期的な治安維持を優先して、朝鮮人を排除する意思決定を重ねてきたのは周知の事実です。
吉田茂がGHQに送った書簡や、各種の「みなし規定」は有名ですが、参政権に関しては下記の論文も参考になるでしょう。
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~mizna/sanseiken1.html
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~mizna/sanseiken2.html
だから、仮に李承晩が許容し、在日朝鮮人組織が賛成していたとしても、渡日朝鮮人に国籍選択権を与えるという選択肢は、吉田茂にはなかったはずです。
おそらく、法務官僚は国際慣習に従って、渡日朝鮮人には国籍選択権を、という主張をしていたと思いますよ。だって、それが合理的なのだから。まちがいなく、圧倒的多数の朝鮮人は日本国籍を選択しない。そうすれば、旧植民地出身者という特殊な身分としてではなく、単なる外国人として扱えるようになる。ずいぶんスッキリしますね(笑)。後から瑕疵を指弾されるようなことがないように周到に手続き的な正当性を踏まえておく。それが日本の官僚らしい優秀さというものでしょう。
しかし、吉田茂をはじめとする政治家がそれを覆した。つまり、政府は自分で自分の首を絞めたんですよ。