2004年4月1日
計画の経緯
今回の選定計画は2001年当初、94式戦術機「不知火」の改修要望として具体化が開始され、その後94式の改修に限らず、新規開発や外国機の採用を含め、老朽化が心配されていた77式戦術機「F-4J撃震」の代替機として国防省内で広く検討が行われていた。
現在我が国の戦術機開発を担っている河崎、富嶽、光菱の三社は、当時より現在に至るまで、94式自体の後継機たる純国産の次期主力機開発に全力を注いでいる。そのため77式の代替機に新規設計を起こす余力は無く、国防省装備調達委員会では帝国軍で採用されている外国由来機が撃震、陽炎の2機種である点に鑑み、「3機種までなら誤射かもしれない」との意見を受け、技術導入に留まらない外国機そのものの直接導入もやむなしとする中間報告がなされている。
この報告を受け、導入が検討された戦術機には米国機であるF-22A「ラプター」やF-18E/F「スーパーホーネット」、国際開発機であるF-35「ライトニングII」、欧州連合からはEF-2000「タイフーン」、そして昨年突如米ボーニング社より滑り込んできたF-15SE「サイレント・イーグル」など、多種多様な外国機体が並ぶ事になった。
他方、国産機としては元々の「不知火」改修を目指した「不知火・弐型」が挙げられているのみであり、特にF-15SEによって米国がまたしても本邦国防計画に横槍を入れてきた形となったこともあり、本計画は「対BETA主力装備である戦術機の国産化という潮流に抵抗する、米国の軍靴の足音が聞こえてくるかのよう」として、国防省内部のみならず、政府各所や識者からの反発も根強く存在し続けていた。
内外からの批判を浴びつつも、次期戦術機計画は昨年2003年初頭、最終候補として国産機である「不知火・弐型」及び米国機であるF-15SEJ「月虹(サイレント・イーグル)」の2機種を選出し、それぞれ試01式(不知火・弐型)、試02式(月虹)として実戦を伴う運用試験を開始した。結果的に外国機が「月虹」1機種に集約されることで、国産機派と外国機容認派が両機体の一騎打ちという形で真っ向対立する構図となっていたのだ。
なお、2003年までに検討されていた次期戦術機は以下の通り。
F-22A ラプター
米ロックウィード・マーディン社の最新鋭戦術機。次期戦術機候補の中では最も優れた性能を持つとされており、米陸軍での制式採用から3年が経過している事から、信頼性の点でも実証されていた。一方、候補機の中では最も高価な機体調達費用や、米国議会による武器輸出規制の対象化が不安材料となっていた。
F-35 ライトニングⅡ
米ロックウィード・マーディン社が、欧州連合、アフリカ連合と共に国際共同開発を行っている最新鋭第三世代戦術機。輸出向けベストセラー機であるF-16の後継として、F-22Aで得られた技術を元に、小型かつ近接戦闘戦能力を重視する機体として開発された。米国は日本帝国の次期戦術機に本機を最も強く推奨していたが、現時点においても制式機がロールアウトしてない点、カタログ性能に特に優れた点が無い事から、日本帝国での本機の採用は極めて疑問視されていた。
F-18E/F スーパーホーネット
米ボーニング社製艦載用戦術機。厳密には次期戦術機候補ではなく、帝国海軍が機動艦隊戦力の拡充を図るべく導入を検討している機体であったが、本機種の大量導入によって77式を置換する、という計画も存在していた。
EF-2000 タイフーン
欧州各国共同開発による多目的任務戦術機。日本帝国と同じく近接格闘戦性能を重視した機体となっており、ステルス性能以外ではF-35に匹敵、もしくは上回ると目されている。欧州連合は本機の輸出に非常に積極的で、日本帝国へ一個中隊分の機体を無償供与する程だが、これまで導入経験のない欧州機である事から、実戦部隊からは整備の困難さが指摘されており、導入の障壁となっていた。
不知火・弐型
現行の不知火に対し、米ボーニング社と国内メーカーが共同改修を行った機体。ボーニング社が改修用部品のライセンス生産を許可した事から、既存機の改修だけでなく、新規生産が見込めるようになった為、月虹に次ぐ次期戦術機の最有力候補と目されていた。
F-15SEJ 月虹(サイレント・イーグル)
米ボーニング社が、F-15Eを再改修する形で開発した第三世代戦術機。ステルス性の付与のみでなく、既存のF-15Jの製造ラインを短期間で転用可能な点や、生産・整備・運用のノウハウを構築しやすい点が有利とされていた。また、F-22A、F-35よりも導入コストが安価とされていた。その反面、すでに不知火や武御雷を運用している日本帝国にとっては、ステルス性以外にとりたててメリットがなく、有利とされている生産・ノウハウ面についても、F-15Jとは事実上全く別の機体である点から、想定よりも難航するであろう点が危惧されていた。
1 / 2 / 3 / 4 次のページへ

関連記事
【政治】国防省 帝国軍次期戦術機に「F-4JXXX 超撃震」を選定
【政治】帝国軍次期戦術機選定における将軍殿下のお言葉
【社会】「超撃震」選定 各所の反応は
【政治】
特集・次期戦術機(1) 「超撃震」選定の背景とは
次期戦術機の本命として実運用試験の進んでいた機種を覆す形での今回の決定に、関係各所も驚きの色を隠せない様子だ。計画の経緯
今回の選定計画は2001年当初、94式戦術機「不知火」の改修要望として具体化が開始され、その後94式の改修に限らず、新規開発や外国機の採用を含め、老朽化が心配されていた77式戦術機「F-4J撃震」の代替機として国防省内で広く検討が行われていた。
現在我が国の戦術機開発を担っている河崎、富嶽、光菱の三社は、当時より現在に至るまで、94式自体の後継機たる純国産の次期主力機開発に全力を注いでいる。そのため77式の代替機に新規設計を起こす余力は無く、国防省装備調達委員会では帝国軍で採用されている外国由来機が撃震、陽炎の2機種である点に鑑み、「3機種までなら誤射かもしれない」との意見を受け、技術導入に留まらない外国機そのものの直接導入もやむなしとする中間報告がなされている。
この報告を受け、導入が検討された戦術機には米国機であるF-22A「ラプター」やF-18E/F「スーパーホーネット」、国際開発機であるF-35「ライトニングII」、欧州連合からはEF-2000「タイフーン」、そして昨年突如米ボーニング社より滑り込んできたF-15SE「サイレント・イーグル」など、多種多様な外国機体が並ぶ事になった。
他方、国産機としては元々の「不知火」改修を目指した「不知火・弐型」が挙げられているのみであり、特にF-15SEによって米国がまたしても本邦国防計画に横槍を入れてきた形となったこともあり、本計画は「対BETA主力装備である戦術機の国産化という潮流に抵抗する、米国の軍靴の足音が聞こえてくるかのよう」として、国防省内部のみならず、政府各所や識者からの反発も根強く存在し続けていた。
内外からの批判を浴びつつも、次期戦術機計画は昨年2003年初頭、最終候補として国産機である「不知火・弐型」及び米国機であるF-15SEJ「月虹(サイレント・イーグル)」の2機種を選出し、それぞれ試01式(不知火・弐型)、試02式(月虹)として実戦を伴う運用試験を開始した。結果的に外国機が「月虹」1機種に集約されることで、国産機派と外国機容認派が両機体の一騎打ちという形で真っ向対立する構図となっていたのだ。
なお、2003年までに検討されていた次期戦術機は以下の通り。
F-22A ラプター
米ロックウィード・マーディン社の最新鋭戦術機。次期戦術機候補の中では最も優れた性能を持つとされており、米陸軍での制式採用から3年が経過している事から、信頼性の点でも実証されていた。一方、候補機の中では最も高価な機体調達費用や、米国議会による武器輸出規制の対象化が不安材料となっていた。
F-35 ライトニングⅡ
米ロックウィード・マーディン社が、欧州連合、アフリカ連合と共に国際共同開発を行っている最新鋭第三世代戦術機。輸出向けベストセラー機であるF-16の後継として、F-22Aで得られた技術を元に、小型かつ近接戦闘戦能力を重視する機体として開発された。米国は日本帝国の次期戦術機に本機を最も強く推奨していたが、現時点においても制式機がロールアウトしてない点、カタログ性能に特に優れた点が無い事から、日本帝国での本機の採用は極めて疑問視されていた。
F-18E/F スーパーホーネット
米ボーニング社製艦載用戦術機。厳密には次期戦術機候補ではなく、帝国海軍が機動艦隊戦力の拡充を図るべく導入を検討している機体であったが、本機種の大量導入によって77式を置換する、という計画も存在していた。
EF-2000 タイフーン
欧州各国共同開発による多目的任務戦術機。日本帝国と同じく近接格闘戦性能を重視した機体となっており、ステルス性能以外ではF-35に匹敵、もしくは上回ると目されている。欧州連合は本機の輸出に非常に積極的で、日本帝国へ一個中隊分の機体を無償供与する程だが、これまで導入経験のない欧州機である事から、実戦部隊からは整備の困難さが指摘されており、導入の障壁となっていた。
不知火・弐型
現行の不知火に対し、米ボーニング社と国内メーカーが共同改修を行った機体。ボーニング社が改修用部品のライセンス生産を許可した事から、既存機の改修だけでなく、新規生産が見込めるようになった為、月虹に次ぐ次期戦術機の最有力候補と目されていた。
F-15SEJ 月虹(サイレント・イーグル)
米ボーニング社が、F-15Eを再改修する形で開発した第三世代戦術機。ステルス性の付与のみでなく、既存のF-15Jの製造ラインを短期間で転用可能な点や、生産・整備・運用のノウハウを構築しやすい点が有利とされていた。また、F-22A、F-35よりも導入コストが安価とされていた。その反面、すでに不知火や武御雷を運用している日本帝国にとっては、ステルス性以外にとりたててメリットがなく、有利とされている生産・ノウハウ面についても、F-15Jとは事実上全く別の機体である点から、想定よりも難航するであろう点が危惧されていた。
関連記事
【政治】国防省 帝国軍次期戦術機に「F-4JXXX 超撃震」を選定
【政治】帝国軍次期戦術機選定における将軍殿下のお言葉
【社会】「超撃震」選定 各所の反応は
不知火・弐型(左)と月虹(右)
本年2月、軍事系雑誌取材に回答する巌谷氏
今回採用が決まったF-4JXXX超撃震。武者らしい意匠を凝らした外装が特徴的(国防省提供)
今回次期候補として上がっていた戦術機の数々。外国機が多数含まれていた(国防省提供)