哨戒艦沈没:李大統領、事故現場を訪問
李明博(イ・ミョンバク)大統領は、韓国海軍の哨戒艦「天安」の沈没から5日目となる30日午前、ペンニョン島周辺海域で捜索活動を行っている輸送艦「独島」を訪問し、事故の経緯などについて報告を受け、捜索状況を視察した。
金盛賛(キム・ソンチャン)海軍参謀総長は事故原因について、「(船首側の)ケーブルの状況などからみて、爆発や大きな圧力によって(船体が)切断されたのではないかと考えている。(艦内の)弾薬庫は爆発しなかったとみられる」と報告した。同席した海軍特殊旅団のクォン・ヨンデ中領(中佐に相当)も、「捜索を行った船首側の切断部位で撮影した写真や浮遊物などを調べた結果、爆発やばい煙の形跡はなく、燃えた物体もなかった。内部での爆発はなかったとみられる」と指摘した。
「機雷が爆発しても痕跡は残るのか」との李大統領の問いに対し、金参謀総長は「引き揚げてみなければ分からない。魚雷の可能性もある」と答えた。報告を受けた李大統領は「科学的かつ総合的に調査しなければならない。透明で公開の形を取り、絶対に予断しないようにしてもらいたい。急務は船尾に残された46人の命を救うことだ。米軍と協議し最善を尽くすように」と指示した。
李大統領はその後、輸送艦「独島」から海軍のゴムボートで2.3キロ移動し、救難艦「光陽」に待機している行方不明者家族18人と面会した。家族らは「一日も早く探し出してもらいたい」「救助装備が不足している」など、やや興奮した表情で訴えた。李大統領は「わたしの気持ちは皆さんと同様で、なぜ早く(救助が)できないのかと促している。(家族の皆さんは)直接海中に潜りたい気持ちではないか。今回の事故は戦闘中に起きた出来事に等しいと思う」などと述べた。
これに関連し、大統領府(青瓦台)の李東官(イ・ドングァン)広報首席秘書官は「平時の作戦中の殉職者に対する補償金は3600万ウォン(約296万円)だが、今回の事故の犠牲者には戦死者に準ずる待遇を与える方向で行政安全部が検討を進めている」と述べた。
大統領府は、ペンニョン島が北朝鮮の主要な海岸砲陣地から10キロ余りしか離れていない上、大統領の一挙手一投足が北朝鮮側によって監視されるとみられることから、今回の訪問が困難を伴うものだったことを重ねて強調した。大統領府の朴先圭(パク・ソンギュ)報道官は「李大統領がそれだけ今回の事件を厳重に受け止めていることを示すものだ」と説明した。
朴報道官によれば、李大統領は30日朝の閣議直前に、「自分は国軍の統帥権者だ。これ以上座視しているわけにはいかない」として、直接訪問を決めたという。大統領府はまた、今回の訪問が現場を驚かせようとする訪問ではないとし、李大統領は事故直後から現場入りを希望していたが、側近が安全上の理由から引き止めてきたことを明らかにした。
李大統領の事故現場入りは、行方不明者の捜索が遅れていることなどで、政府の対応に批判が高まっていることに配慮したのではないかとの分析も聞かれる。
李大統領は帰路、ペンニョン島の海兵隊第6旅団を訪れ、北朝鮮に対する警戒態勢を視察し、「北朝鮮が6カ国協議で核を放棄するまで、厳重な警戒を緩めてはならない」と訓示した。
黄大振(ファン・デジン)記者
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