ヤクルト−中日 6回表1死、ネックウオーマーで防寒対策する森野が右翼線に二塁打を放つ=神宮球場で(佐藤哲紀撮影)
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ブランコの先制1号2ランで始まった試合は、先発・山井が大乱調。あっさり逆転を許すと、打線もツバメのルーキー中沢に0行進。この日の東京は日中でも10度。気温もグングン低下した寒い神宮初ナイターで、ちょっとお寒い黒星。きょうこそ、ホットな白星待ってます−。
不思議なことが起こるものだ。この夜の神宮は季節外れの底冷え。試合後、ある選手は「この寒さ、おかしいですよ…」と震えた。今季初の屋外ゲームで、元気だったはずの竜打線まで“底冷え”だ。
ヤクルトの新人・中沢にひねられた。2回以降はゼロ行進。速球は130キロちょっと。なのに、打てない。もしかしてスピードガン表示よりずっと速く見えるのか? 好調・和田は「ガン通りです」と首を振った。?マークがたくさん。お寒い展開が続いた。
和田はこう続けた。「低めを打たされた感じです。今日はやっぱり、野手がもっと先発投手を打たなきゃいけない試合でした。点を取られたら取り返す。それができなければ勝てません」。本来なら、ガンガン熱く打つべき試合だった。
初物が苦手なのか? それもない。昨季、初対戦の先発投手との対戦は11試合。最終的な勝敗は6勝5敗ながら、その11人に白星は一つも献上していない。逆に6個の黒星をつけていた。
得意なはずの初対戦投手。なのに、3回に逆転されると一度も追いつけない。寒い展開。そして、野手は寒いグラウンドに立ち尽くした。先発・山井が4回途中までに四球を6個も出した。とにかく守備が長い。攻撃のリズムも出ない。
乱調・山井の復調をひたすら祈る、苦行のような夜。敗戦後、落合監督は静かに説明した。
「野手は4試合目、山井は初めて。チームは開幕してるけど、先発ピッチャーはまだ投げていないのもいる。最初はいろいろなものが出るものだ。その辺は、差っ引いて考えてやらなきゃいけない」
シーズンは長い。この1試合で終わるわけではない。あと140試合もある。この先、潜在能力が巨大な山井の力を頼るときが必ずくる。だが、07年日本シリーズの8回完全投球以来、勝っていない男でもある。チームみんなで耐え、支えなければならない試合もときにはある。
開幕3連戦で指揮官が見た「硬い」ところについては「取れているものもいれば、取れていないものもいる。いろいろといていいんじゃないか」と語った。街頭の桜ほどにも“花”は開いていない。秋の収穫に備え、寒さに耐える夜だったようだ。 (生駒泰大)
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