把瑠都、史上最速２場所で綱取る！大関昇進伝達式

昇進伝達式を終え、力士たちに担がれガッツポーズする新大関の把瑠都

　日本相撲協会は３１日、大阪市内で夏場所（５月９日初日・両国国技館）の番付編成会議と理事会を開き、関脇・把瑠都（２５）＝尾上＝の大関昇進を満場一致で決定した。大阪・大東市内で行われた伝達式では、出羽海一門の大先輩で昭和の大横綱・北の湖親方の大関昇進時と同じ口上で決意を披露した。次の目標は北の湖、千代の富士、朝青龍が達成した大関３場所を超える２場所通過での横綱昇進。新大関場所の夏場所で「優勝したい」と最速の綱取りへ意欲をあらわにした。

　緊張のあまり言葉に詰まった。把瑠都は冒頭、出羽海理事（元関脇・鷲羽山）から「満場一致で大関に推挙されたことをお伝えいたします」と伝えられたが、約１０秒間沈黙した。

　思わず顔を上げると出羽海理事と目が合い、慌てて顔を下げて口上を始めたが「けいこに精進して栄誉ある地位を汚さな…」と一瞬止まり、「汚さぬよう努力いたします」と言い直し、緊張の口上を終えた。「大丈夫だろうと思ったけど、最後に硬くなった」と苦笑いを浮かべた。

大関昇進伝達式で使者の出羽海親方（右手前）から伝達を受ける把瑠都（左中央）と尾上親方夫妻

　シンプルで分かりやすい口上。師匠の尾上親方（元小結・浜ノ嶋）は「大先輩である北の湖親方と相談した」と明かした。０６年８月に三保ケ関部屋から独立した尾上部屋。三保ケ関部屋初の大関となったのが優勝２４回の大横綱・北の湖。大先輩が１９７４年初場所後の大関昇進時に述べたものと同じ口上で、更なる飛躍を誓った。

　大先輩を超えることも期待される。５８年の年６場所制以降、最速で大関を通過し横綱に昇進したのは北の湖、千代の富士、朝青龍の３場所。把瑠都が夏場所で初優勝すれば、史上最速の大関２場所での横綱昇進も夢でなくなってくる。北の湖親方は「この勢いを逃さないでほしい。今は誰が横綱になるか分からないだけにチャンスだ」と期待。尾上親方も「この勢いで、今年中にという気持ちで頑張ってほしい」と激励。新大関は「優勝しないと横綱に上がれない。次の目標は優勝しかない」と力強く誓った。

　朝青龍が不祥事で引退し、人気回復へ再建中の角界。陽気な性格が持ち味の把瑠都は「明るく、ファンの皆さんを大事にする大関になりたい」と力強く話した。新大関が、悪童横綱が残した影を一掃し、相撲界を明るく照らしていく。

　【大関あらかると】
  ▽外国人　把瑠都は０８年九州場所後に昇進の日馬富士に続く８人目。欧州出身では琴欧洲に続く２人目。
  ▽５大関　把瑠都の昇進で０９年九州以来、１４回目の５大関時代。うち外国人の３大関は史上初。
  ▽月給　２３４万７０００円で三役より６５万７０００円の昇給。横綱は２８２万円。
  ▽降下　２場所連続の負け越しで関脇陥落。落ちた場所で１０勝以上すれば復帰。
  ▽待遇　東京場所では自家用車で地下駐車場での場所入り可。移動時も飛行機はファーストクラスで新幹線もグリーン車。
  ▽化粧まわし　房に紫色の使用可。
  ▽横綱昇進　大関で２場所連続優勝かそれに準ずる成績が必要。