【萬物相】コスダックの不正会計
高麗時代、開城の商人たちは「四介松都治簿法」という固有の会計技法で帳簿を付けていたという。資産と負債、利益と損失を区分し、仕訳帳と元帳を別々に付けていた。これは今日の複式簿記と非常によく似ていた。それから開城商人の複式簿記が西洋より200年早かったとの主張が出ているが、残念ながら現在まで高麗時代と朝鮮時代の文書に四介松都治簿法を示す証拠を発見されていない。
会計制度は、人類の文明とのことから長い歴史を持っている。人類が文字を発明したのは、取引記録を残すためだったとの主張もある。近代的な複式簿記制度は、中世の商業を掌握したイタリア商人らが開発したというのが定説となっている。イタリア人数学者ルカ・パチョーリは1494年、ヴェネチア商人らの会計技法を体系化した世界初の簿記の解説書を出版した。
産業革命を経てパチョーリの簿記方式が改良され、現代式複式簿記に発展した。ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは、複式簿記の発展が近代資本主義の発展に決定的な役割を果たしたとみなしている。企業の財務状態と経営成果を把握・分析し、経営を革新し、合理的意思決定を下すことのできる意味においてだ。
企業の会計情報は長い間対外用に過ぎなかった。1890年台まで上場企業は財務諸表を公開する義務がなかった。また公開する場合も会社の経営状態が分からない帳簿を公開した。そのため外部の者は企業の実態を知るすべがなく、株式市場では投機家と詐欺士が横行した。19世紀末から公認会計士と外部監査制度、企業会計情報公開といった改革が行われた。しかし、2000年以降に不正会計で破たんしたエンロン事件やリーマンショックで見るように、改革はまだ道半ばといえそうだ。
今年に入ってコスダック(KOSDAQ)上場企業のうち会計処理がずさんなため、会計法人が監査できないとして上場廃止の危機に直面した企業が28社に達する。この中には時価総額4000億ウォン(約330億円)を超える企業も含まれている。これについては、昨年から会計法人が以前よりも厳しく帳簿をチェックするからとの意見も出ている。上場廃止企業が増えれば投資家らが大きな損害を受ける。かといって、ずさんな会計を放置すれば後にさらに大きな災いを招くおそれがある。企業の不正会計については、コスダック市場を活かすためにも、一罰百戒の姿勢で取り組まなければならない。
金基天(キム・ギチョン)論説委員
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