哨戒艦沈没:遅すぎた事故対応

移動に4-5日かかる海上クレーン、事故3日後にようやく出発

ようやく出発したクレーン

 韓国海軍は、初動措置だけでなく、事故収拾の対応も非常に遅かった。多くの人が冷たい海の中でもがいているという状況で、海軍の対応の遅さに行方不明者の家族の怒りは再び噴出した。

 沈没した「天安」を引き揚げる海上クレーン(三湖I&D社製)は、事故発生から四日目の29日にようやく慶尚南道巨済を出発した。クレーンは3隻のえい航船がけん引しながら沿岸を航行するため、ペンニョン島の現場に到着するのは4月2、3日になるという。

 行方不明者の生存限界時刻(29日午後6時30分)を全く考慮していない措置だ。事故当日か翌日にクレーンを出発させていれば、早ければ29日か30日には到着していた可能性があるにもかかわらず、そのチャンスを逃したと指摘されている。

 一般的に、沈没した船舶の重量は通常の約3倍になるが、船体が真っ二つに割れた「天安」の引き揚げには、2000-3000トン級のクレーンが必要になる。このような装備がないことは海軍自身が認識していることであり、迅速に動くべきなのに、この対応さえも遅れた。

状況判断ができず、救助艦も1隻のみ

 投入された救助艦が「光陽」(3000トン級)1隻だけだったという点についても、海軍の判断の誤りだと指摘する声が上がっている。

 韓国の救助艦の性能では、救助艦1隻につき救助作業が1回ずつしかできない。救助要員が水中に一度潜って浮上するまでの所要時間は10-15分程度のため、救助艦1隻では迅速な救助作業はできないという。だが海軍は、事故現場付近の潮の流れが速く視界も悪いため、救助作業が難航するという点を認識しながらも、救助艦の派遣は「光陽」1隻だけだった。軍関係者は「事故がここまで大きくなるとは思わず、救助船の追加派遣を要請しなかった」と語った。

金城敏(キム・ソンミン)記者

金時現(キム・シヒョン)記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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