哨戒艦沈没:船内捜索に再挑戦(下)

死闘を繰り広げる潜水隊員

 救助を行う環境も厳しかった。救助隊員たちを最も苦しめたのは西海の強い潮の流れだ。ペンニョン島周辺海域では、潮の満ち引きの際に3ノット(時速5.56キロ)もの速い潮の流れが発生する。隊員らが効率的に救助作業を行なうには、潮の満ち引きが変わる時点、つまり潮の流れがとまる停潮のわずかな時間を待つしかない。問題はこの停潮が1日に2回か3回しかなく、その時間も1日2時間から3時間と短いという点だ。海軍の関係者は「潮が停まった時に潜っても、海中には予想以上に速い潮の流れがある。そのため救助隊員たちは、非常に困難な状況の中で作業を行わなければならない」と述べた。艦尾の捜索が本格的に始まったこの日、救助隊員たちはほぼ1日中、海中で作業を行った。午後には潜水経歴15年のSSU隊員の一人が、潜水病の症状が出て治療を受けた。

 わずか30センチ以下という視界の悪さも、作業に大きな負担となった。救助隊員らによると、海中では自分の腕時計さえ見えなかったという。特に天気が曇ってくると、視界はほぼゼロになる。そのため救助隊員たちは海中では手探りで作業を行う以外になかった。

 夜になると、海中はまったく見えないほど暗くなった。救助隊員らは船内に入るため固く閉じられたハッチを開けようと必死の努力を続けたが、夜9時30分ごろ作業を一時中断し、30日早朝から再開することにした。

 この日、天安号の救助・捜索作業には韓米両国の海軍艦艇14隻のほか、海難救助隊員(SSU)などの兵力や装備が総動員された。このように実際に沈没した艦艇への救助・捜索を行なうために大規模合同作戦が行われたのは、今回が初めてのことだ。夜9時にはアジア最大の上陸艦である独島(1万4000トン級)が姿を現わした。独島艦が現場に到着すると、救助作戦の指揮本部を独島艦に移すことも検討されている。

 米海軍はイージス艦と巡洋艦3隻、救助艦など4隻を現場に派遣した。

 軍の消息筋は「米軍艦艇による支援は、在韓米軍のシャープ司令官が積極的な支援を表明したことで実現した」と語った。

張一鉉(チャン・イルヒョン)記者

ペンニョン島=キム・ガンハン記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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