哨戒艦沈没:北の海上狙撃部隊による仕業の可能性

 哨戒艦「天安」の沈没事件について、元幹部の脱北者の間では29日、「北朝鮮海上狙撃部隊の作戦の可能性もある」という話が出た。

 北朝鮮の海上狙撃部隊は韓国の海軍特殊戦旅団(UDT)に該当する。彼らは海上陸戦隊員(韓国の海兵隊に相当)の中でも体格と精神力に優れた「戦士」で構成、最高の待遇を保障された上で、地獄の訓練を受ける。

 元幹部の脱北者によると、北朝鮮は、金正日(キム・ジョンイル)総書記が2003年のイラク戦争時に、「自爆する軍隊に勝てる部隊はない。誰も手を出すことができない」と発言した後、各兵種別に自爆特攻隊を作ったという。兵器の性能の面で韓国に劣る北朝鮮の立場としては、自爆特攻隊がほぼ唯一韓国に対抗できる「武装」だからだ。

 北朝鮮の自爆特攻隊は空軍では「不死鳥」、陸軍では「総爆弾」。海軍では「人間魚雷」と呼ばれる。彼らは「死」で敵と戦う訓練を受ける。北朝鮮はこの中でも、「人間魚雷」と呼ばれる海上狙撃部隊に大きな比重を置いているという。東海(日本海)・西海(黄海)岸にそれぞれ一つずつ、旅団規模で運営される海上狙撃部隊は、韓国に劣勢な海軍力を補完できる唯一の手段と考えられているためだ。

 海軍出身の脱北者によると、この部隊は二人用潜水魚雷艇を多数保有しているという。この魚雷艇は作戦状況によって、魚雷2発を装着するか、後尾に機雷を付けて動けるようになっているという。特に、西海岸のように海流が速い海岸では、魚雷より機雷を敷設する訓練を主に行っている。機雷は敵の艦船に見つかる可能性が低く、強力なダメージを与えることができるためだ。

 対南工作部出身のある脱北者は、「北朝鮮は1999年に西海で初めて交戦した後、正規の海戦では韓国の相手にならないことを知り、非正規的戦闘で敵艦を壊滅させる方法を研究し続けてきた」と話した。

 その中で最も現実的な作戦が「音響機雷による敵艦攻撃」だという。二人用魚雷潜水艇に音響機雷を搭載し、時速2キロ未満で進む。速く動けば敵艦のソナー(水中音波探知機)に感知されるため、ほぼ歩く速さで移動し、目標航路に機雷を設置すればいったんは成功と見なすという。狙撃部隊員らが音響機雷を設置して無事に帰還すれば、これを設置したという証拠を見つけるのは難しいためだ。

姜哲煥(カン・チョルファン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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