哨戒艦沈没:北の機雷が漂着か(下)

国防部長官が可能性指摘

 その上で、金長官は「(過去に設置された機雷による爆発ではなく)、テロの可能性についても調べている」と述べた。金長官によれば、哨戒艦が接触性機雷など小さな物体を探知するのは困難だという。

 金長官はただ、韓国軍が設置した機雷で「天安」が沈没した可能性については、「西海岸に韓国軍の機雷はない」と述べ、完全否定した。それによると、韓国軍は有事に機雷を設置する作戦計画はあるが、平時には機雷を設置していないという。韓国軍は1970年代に北朝鮮による上陸作戦に対処するため、爆雷を改良し、陸上でボタンを押せば爆発する機雷をペンニョン島沖に設置したが、既に除去したという。金長官は「自分が合同参謀本部議長を務めていた2008年に2カ月かけて捜索し、(機雷は)すべて除去した」と説明した。

(3)魚雷攻撃?

探知装置に反応なし、半潜水艇なら攻撃可能

 魚雷による攻撃を受けた可能性については、哨戒艦には魚雷探知機能があり、「天安」で魚雷探知装置を担当していた兵士の証言によれば、爆発直前に魚雷接近の兆候はなかったという。しかし、議員から「魚雷を探知できなかった可能性はないのか」と問われると、金長官は「半潜水艇ならば魚雷攻撃も可能だ」と述べ、可能性を排除していないことを示唆した。北朝鮮の半潜水艇は魚雷2発を搭載しているという。

 専門家は「外部の爆発による衝撃で内部で爆発が起き、船が真っ二つに折れたとみられる。大型魚雷ならばその程度の衝撃を与えることが可能だ」と述べた。ただし、「魚雷ならば騒音が非常に大きいため、ソナー室で探知できないはずはない」とも指摘した。

(4)通常航路から離脱?

「過去に15回も通過」

 予備役の海軍幹部経験者は「事故海域は哨戒艦の警備区域ではあるが、通常は航行しない場所だ。高速艇が航行する航路で、そこになぜ『天安』が入ったのか分からない」と疑問を投げ掛けた。

 これは「天安」が当時、音波探知機とレーダーで探知した正体不明の物体を確認するため、航路を変更し、特殊任務を遂行していた際に事故が起きたのではないかとの見方だ。

 これについて、金長官は「天安」が遂行していた任務については具体的説明を避けたが、「事故海域は『天安』が15回も通過したことがあり、水深も(哨戒艦が航行可能な)20メートルを超える」と説明した。

 一方、金長官は同日の国会国防委員会で、「初動対応は比較的完ぺきになされたと思う」と述べた。これに対し、与野党議員は「沈没地点から50メートル以内を集中的に捜索すれば、船尾をもっと早く発見できたはずだ」とか「結局は漁船が船尾を発見したのではないか」といった非難の声が上がった。

イム・ミンヒョク記者

金鳳基(キム・ボンギ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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