【社説】DMZ記録作業、北朝鮮は共同で進めるべき
北朝鮮軍板門店代表部の報道官は29日発表した談話を通じ、「韓国軍部がメディア15社を非武装地帯(DMZ)とその隣接地域に引き入れ、反共和国謀略資料を作っている。DMZを悪用しようという米国と韓国当局の行為が続けば、人命被害をはじめとする予測不可能な事態が発生するだろう」と主張した。国防部が先月2月、韓国メディア15社と「DMZ取材支援のための了解覚書」を締結したことについて文句をつけたわけだ。
北朝鮮軍は「DMZ隣接地域の見学・参観・観望」についても、「反共和国心理戦の行為」だとして非難した。北朝鮮は「(DMZには)民事行政および救済事業以外には誰も立ち入ることができない」という停戦協定第1条9項を挙げ、メディアのDMZ取材と「DMZ観光・見学」を問題視した。しかし、北朝鮮が根拠に挙げた停戦協定の同じ条項には「軍事停戦委員会の許可を得てDMZに立ち入ることができる」という条文もある。
北朝鮮は1994年停戦委員会代表を全員撤収させ、何の法的根拠もない朝鮮人民軍板門店代表部に変更するなど、これまで停戦協定を無効化させようと総力を挙げてきた。北朝鮮が1994年までに停戦協定に違反した件数だけでも43万5271件に及ぶ。その北朝鮮が16年ぶりに突然、停戦協定の条項を提示してきたというわけだ。
本紙は昨年から停戦委の責任者である国連司令官の許可を得て適法な取材を行ってきた。韓国戦争(朝鮮戦争)発生60周年を迎え、歴史的悲劇の現場を後世に伝えることで再びこうした悲劇が繰り返されないように教訓を残し、1953年の停戦以降57年間も人が踏み入らず、生態学的に保存されたDMZの未来を考えようというのがDMZ取材の根底にある趣旨だ。世界的なドキュメンタリーチャンネル、ナショナル・ジオグラフィックも共同で行う本紙のDMZ調査団を「心理戦の要員」と呼ぶならば、国際社会の誰が北朝鮮をまともな国だと見なすだろうか。北朝鮮の懸念が純粋に軍事的な理由ならば、韓国側のDMZ記録に共同参加すればよいことだ。何の許可も準備もなく、競争するかのように取材と観光に乗り出す韓国側の一部メディアや団体も、DMZがいまだに危険な場所だという点を忘れてはならない。
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