【コラム】軍隊と行方不明者家族、無益な衝突避けよう(下)

 将兵と家族の衝突は、今の状況で誰にとっても助けにはならない。救助や原因究明など、事件の本質に関係する問題でもない。それでもテレビがこうした場面をすぐ放映しなければならないのか、というのも、考えてみるべき点だ。

 今回の事故では、このほかにも残念な場面が相次いでいる。沈没原因をめぐり、天安の生存者と政府の見解が食い違い、不信が生じている。天安の艦長が行方不明者の家族に信頼を与えられなかったのも、不幸なことだ。軍の公式発表の場でも、信頼が持てない状況が演出された。

 こうした雰囲気で、世界的な特殊部隊である海難救助隊(SSU)隊員の活動も、一部で非難を浴びている。SSUは、1993年に西海(黄海)で発生したフェリー事故はもちろん、麗水での北朝鮮半潜水艇引揚、第2延坪海戦で沈没した高速艇チャムスリ(オオワシ)357号引揚など、多くの実戦経験を積んだ最精鋭部隊だ。事故海域には3ノットを上回る速い潮流があり、視界も30センチ程度に過ぎず、手探りで作業をしなければならないほどだ。救助および捜索の作業が遅れていることで、こうした人々をむやみに非難する声も少なからず上がっている。

 軍関係者と行方不明者家族の代表、民間の専門家が共に参加する非公式の対策協議会を作るのはどうだろうと検討してみては、と思う。軍は今、我を忘れているが、韓国国民の理解と協力が得られなければ事態が予想外に悪化しかねない、ということに留意しなければならない。

ユ・ヨンウォン記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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