【コラム】軍隊と行方不明者家族、無益な衝突避けよう(上)

 今月27日、京畿道平沢の韓国海軍第2艦隊司令部において、武装した兵士が沈没した哨戒艦「天安」の行方不明者の家族や取材陣に小銃を向け、家族らが激怒する場面がテレビニュースなどで放映された。当時、家族は第2艦隊の正門で憲兵らの制止を振り切って部隊に侵入し、当惑した部隊側は小銃で武装した機動打撃隊を出動させ、家族を制止しようとした。

 この過程で、ある兵士が家族に小銃を向け、さらに興奮した家族と兵士の間で激しい争いが繰り広げられた。家族に押された一部の兵士が、出動した車の下に待避する状況にもなった。軍当局は、「家族に銃を向けたことはない」と釈明しているが、さほど説得力を持てずにいる。

 こうした場面をテレビで見た多くの市民が、心穏やかでないという話だ。息子や夫を軍隊に送った家族の立場から見ると、行方不明者の家族の行動は十分に理解できるという。ポータルサイトなどオンラインの世界でも、「両親に銃まで向けたのはやり過ぎ」「国民の軍隊といえるか」という厳しい反応が出ている。二人の子供を持つ記者の妻も、「あのようにされると、誰が軍を信じて子供を軍隊に送りたいだろうか」と言った。

 この日、行方不明者の家族と対峙(たいじ)した兵士らも、全く同様に兵役義務を果たすため軍に入隊した人々だ。この点から、双方がもっと自制しなければならない、という見解も少なくない。家族や取材陣を制止した兵士らは、無条件に指揮官の命令に従わざるを得ない人々だ。任務の特性上、わずかでも融通性を発揮するのは難しい。小銃を持って出動した機動打撃隊も同様だ。

 行方不明者の家族と争い、みじめな心境だった兵士たちのことを思うと、心が痛む。行方不明になったり負傷した天安の将兵は、争いを繰り広げた将兵の戦友にして、同僚だ。激高した家族の前へ小銃を持って出動することがどういう結果を招くか、第2艦隊の指揮官らは十分に考慮し、慎重な措置を取らなければならない。

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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