【レポート】
残業代の一部を有給休暇に! 4/1施行の改正労基法で残業手当はこう変わる
2010/03/30
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長時間労働を抑制し、労働者の健康確保とワークライフバランス(仕事と生活の調和)が取れた社会を実現することを目的に、2008年12月に公布された「改正労働基準法」。いよいよ4月1日に施行される新しい法制度の下で変更になる労働基準のポイントをまとめてみる。
新しい労働基準法では、残業に対する規定が大きく変わる。従来の法律では、時間外労働に対する賃金報酬の割増率は、時間数にかかわらず一律25%だった。これが4月1日からは60時間を超えた分については50%に引き上げられる。ただし、休日労働や深夜労働については従来どおりで、それぞれ35%、25%の割増率のまま変更されない。
また、残業代の一部を有給休暇として取得できる制度も新たに設けられる。事業所内で労使協定が締結された場合、1カ月60時間以上の時間外労働分に関しては、時間数に25%を乗じた時間分を有給休暇として取得することが可能になるのだ。
つまり、たとえば時間外労働を月76時間行った場合には、60時間までの分の残業手当が基本給の25%割増で支払われるのに加えて、60時間を超えた残りの16時間分に関しては、
- 基本給の50%増で全額残業代として受け取る
- 16時間×25%=4時間の有給休暇として取得する
という2つの方法が選べるようになるのだ。
ただし、これらの措置の適用は、当面は一定の従業員、資本金規模の企業に勤める従業員のみ。中小企業(業種によって従業員規模や資本金の基準は異なる)に関しては、現状は猶予期間とされ、3年後に改めて導入が再検討されることになっている。
一方、今回の法施行で従業員規模にかかわらず導入されるのは「代替休暇」制度だ。現行では、日単位で取得しなければならない年次有給休暇を、事業所において労使協定が締結された場合には、1年に5日分を限度として時間単位で取得できるようになる。これまで、業務上、まとまった休暇が取りづらく、有給休暇を消化するのが難しかった労働者にとっては、より柔軟な対応となり、ありがたい仕組みだ。
その他、改正法では、努力義務として、すべての企業に対して、時間外労働の限度基準である1カ月45時間を超えた残業代の割増賃金率を25%以上にすることや、月45時間以上の時間外労働を極力短縮することが求められている。
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