2010年3月31日
文部科学省は30日、2011年度から小学校で使われる教科書全9教科の検定結果を発表した。来春に本格実施される新しい学習指導要領が「脱ゆとり」へ大きく踏み出したのに合わせた内容で、04年の検定で合格した現行教科書に比べ、ページ数は各社平均で算数33%、理科37%、全教科合計でも25%増加した。
「ゆとり教育」全盛時の01年に検定で合格した教科書に比べると、算数・理科はともに67%、国社算理の4教科は50%、全教科では43%増えた計算になる。こうした内容を学校現場でこなし、子どもたちに理解させられるかが今後の大きな課題になる。
文科省によると、小学校の教科書検定には15社が148点を申請。上下分冊などを含めると冊数は計280冊で、検定意見による修正を経てすべてが合格した。高校も対象だったが、高校の学習指導要領の改訂に伴う検定が10、11年度に控えているため申請は3社の5冊にとどまり、すべて合格した。
今回合格した小学校の教科書は、新しい学習指導要領で反復学習の充実がうたわれたことを踏まえ、過去に習った内容を折々におさらいする記述が目立つ。各学年の算数の教科書の末尾では、以前に学んだ単元の問題が多く掲載された。指導要領の範囲を超える「発展的な内容」も随所に盛り込まれた。
また、国際的な学力調査で日本の順位が下がったことを意識し、知識の暗記だけでなく、活用する力を育てようとする記述が多く登場。新指導要領で言語活動の充実がうたわれたことから、子どもたちが自分で調べたものを文章にまとめ、教室で発表するように構成する内容も教科を問わず盛り込まれた。
ゆとり教育の象徴としていったん教科書から消えた台形の面積の公式は、04年に検定を通った教科書で発展的な内容として復活。さらに今回は通常の学習内容として5年算数の全社に掲載された。また、理科では4年の「骨と筋肉の働き」、6年の「食物連鎖」などの単元が復活した。(青池学)