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◆県立医大は移転するの?
なるほドリ 県立医大(橿原市)が移転するって聞いたけど?
記者 県は昨年10月に県立医大病院(橿原市)や県立奈良病院(奈良市)の高度医療拠点病院化などを打ち出した「県地域医療再生計画」を発表した際、県立医大病院に併設される県立医大の学研・高山第2工区(生駒市)への移転構想案を発表しました。しかし、県が想像した以上に県南部選出の県議や自治体が反発し、荒井正吾知事は「4月から1年間かけて適地を検討する」とトーンダウン。4月以降、部局を越えたプロジェクトチームを作り、検討する方針です。
Q なぜ移転するの?
A 県立医大病院は1945年の開院以来、増改築を繰り返し、手狭な状態です。教育部門を移し、空いたスペースに病棟などを拡充することで、より良い医療サービスを提供するのが狙いです。
Q 候補地は高山第2工区以外にもあるの?
A 他に県農業総合センター(橿原市)や御所東、高田東、耳成などの高校跡地が候補に挙がっています。ただ高校跡地より、同工区と県農業総合センターを中心に検討されそうです。
Q 付属病院も一緒に移転するの?
A いいえ。移転するのは教育部門の県立医大だけです。付属病院は県南部の高度医療を担う中心として、中央手術棟を整備するなど機能強化を図ります。
Q 候補地によるメリット、デメリットは?
A 学研高山第2工区に移転した場合、奈良先端科学技術大学院大学や移転を検討している県立大のような集積が期待され、相互交流が活発化しそうです。
ただ、県立医大の教員や学生が橿原市から移らないといけません。付属病院と切り離され、臨床機能もなくなります。さらに、同工区の開発計画を巡っては、土地区画整理事業で損失が発生した場合の事業主体となる県、独立行政法人・都市再生機構(UR)、生駒市の補てん割合がまとまらず、先延ばしになっています。仮にまとまっても、造成工事などで移転はさらに10年後。南部の市町村や議員の反発も予想されます。
県農業総合センターは、県立医大から近く歩ける距離なのがメリットといえそうです。橿原市内にあり地元の反発はないでしょう。
Q そうなると、県農業総合センターが有力なの?
A 将来性を考えると、大学が集積するメリットは大きいと荒井知事は考えているようです。教育部門を全体移転か一部かという議論の余地もあり、さらには地元の調整も待っているので、1年以上かけて結論を出すこともあり得るでしょう。<回答・阿部亮介(奈良支局)>
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毎日新聞 2010年3月31日 地方版