鳴門海峡衝突 中国人船長回避策取らず10分以上前に日進丸確認 2010/3/31 10:59
鳴門市沖の鳴門海峡で貨物船同士が衝突し2人が行方不明になった事故で、マーシャル諸島船籍の「OUTSAILING(アウトセーリング)9」(2926トン)が、衝突した広島県江田島市の会社所有の「日進丸」(199トン)に気付いていながら回避措置を取っていなかったことが30日、徳島海上保安部の調べで分かった。保安部は回避措置を取らなかった理由について、業務上過失往来危険と業務上過失傷害の両容疑で送検したアウトセーリング9の中国人船長徐(シィ)海波(ハイボ)容疑者(63)らから事情を聴いている。
保安部によると、徐容疑者はアウトセーリング9の操船を指揮し鳴門海峡を北上中、南下してきた日進丸を衝突の10分以上前に確認。そのまま進めば衝突の危険があったにもかかわらず進路と速力を変えず、日進丸と衝突した。徐容疑者は回避措置を取らなかったことを認めているという。
保安部は、徐容疑者が衝突前に日進丸に気付いていたことから、見張りに問題はなかったとみている。アウトセーリング9の装備にも故障などの不具合はなかった。
日進丸も事前にアウトセーリング9に気付いていたが、どのような回避措置を取ったか分かっておらず、増山博士船長(48)=長崎県平戸市=のけがの回復を待って、事情を聴く。
徐容疑者の送検容疑は、28日午前0時10分ごろ、大鳴門橋から南へ1キロの海上で、操船を指揮する立場にありながら船舶を安全に運航する注意義務を怠り、日進丸と衝突。日進丸の増山船長にけがを負わせたとしている。
保安部などは日没まで、行方不明となっている日進丸の千原伸也1等航海士(37)=熊本県上天草市=と堀金幸治機関長(59)=松山市=を捜索したが、見つかっていない。
保安部によると、流出した重油は見られなくなった。