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きょうのコラム「時鐘」 2010年3月31日
きょう大関昇進が決まる大相撲の把瑠都(ばると)はエストニア出身である。世界地図を開いても、国を見つけるのにしばらく迷う
北欧、スカンディナビア半島の近くで、バルト海に面している。それがしこ名の由来。画数の多い漢字ばかりだから、本人も書くのに一苦労だろう。これも大相撲の国際化の表れである モンゴル人力士の活躍で、大相撲の決まり手が増えた。「大逆手(おおさかて)」「徳利(とくり)投げ」などと言われても素人にはピンと来ないが、モンゴル相撲の多彩な技を教えたのは彼らの功績である。加えて、それをきちんと新しい決まり手に「翻訳」できる日本語の世界も、なかなか奥深い 把瑠都の「瑠」は、人名漢字として認められている。漢字は使用を制限したり、少し緩ませたりを繰り返す。難しくても、暮らしから追い出すのがもったいない字は幾つもある。むしろ、追放したいのは奇妙な片仮名語である。目に余る片仮名のはんらんは、頭の中を国籍不明にするだけのようである エストニアの怪力が、美しい「瑠」の字をしっかり支えてくれる。問題山積の角界だが、探せば良いところも結構見つかる。 |