航空自衛隊発注のオフィス用品の納入をめぐる入札談合問題で、公正取引委員会は30日、空自隊員10人が関与した組織ぐるみの官製談合と認定し、防衛省に官製談合防止法を適用して改善措置を求めた。業者への発注額は、空自OBの受け入れ状況などから決めていたという。
公取委によると、空自で机やいすなどのオフィス用品の調達を担当している第1補給処(千葉県木更津市)の資材計画課は2005年11月〜09年6月、空自OBの天下りを受け入れているかどうかや、過去の受注実績などを参考に、業者ごとに発注目標額を設定。資材計画課が入札前に落札予定会社を決め、その会社の製品が最も安くなるように、他社製品を混ぜたリストを落札予定会社に作成させて、形だけの入札を繰り返していた。
資材計画課長ら隊員10人が官製談合に関与。業者ごとに発注目標額を決めることについては、第1補給処長や副処長らも了解していたという。
一方、公取委は30日、イトーキ(大阪市)、コクヨファニチャー(同)、内田洋行(東京)、ライオン事務器(同)、プラス(同)、岡村製作所(横浜市)の大手メーカー6社による談合を認定。課徴金減免制度の利用で談合を自己申告したコクヨファニチャーを除く5社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)で総額約3億7千万円の課徴金の納付を命じた。防衛省は同日付で、イトーキら5社を12カ月間、コクヨファニチャーを6カ月間、同省の入札の指名停止処分とした。
防衛省の楠田大蔵政務官は同日午後、「国家の平和と独立を守っていく本来の崇高な任務は国民の信頼がないと実現できない。一日も早い信頼回復に向けて、うみをしっかりと出し切る、という思いだ」と述べた。(小島寛明、土居貴輝)