【社説】国家的な危機に大韓民国の底力を示そう

 韓国政府と軍は哨戒艦「天安」の沈没事故について、機雷あるいは魚雷による攻撃を受けて爆発し、沈没した可能性に重点を置いて原因を調べているという。政府関係者は「沈没した天安を引き上げて詳しく調べるまでは、軽々しく結論を出すことはない」と語る一方で、「天安が船舶自体の欠陥や乗組員のミス、あるいは岩礁との衝突などにより真っ二つに割れた可能性は非常に低い」とも述べた。1200トンもの哨戒艦が一瞬にして沈没した今回の事故の原因は、機雷や魚雷による攻撃以外には到底考えられないということだ。

 天安が魚雷攻撃を受けたのが事実であれば、これは明らかな軍事挑発であり、国際法上では戦争行為に該当する。攻撃用の機雷を使用した場合も同様で、国際法上では武力行使と見なされる。天安の沈没原因が魚雷や機雷による意図的な攻撃であることが明らかになった場合、まず最初に思い浮かぶのは、西海(黄海)北方限界線(NLL)を認めようとせず、武力行使の可能性を常に明言してきた北朝鮮だ。北朝鮮は以前から警備艇や半潜水艇などを利用し、数々の破壊行為を続けてきた。今のところ、天安の沈没と北朝鮮を直接関連付けることのできる証拠は見つかっていない。ただし、機雷による爆発が原因だった場合、過去に北朝鮮が設置したものが流れてきた可能性も完全には排除できないという。

 そのため正確な沈没原因を特定するには、まずは天安を海底から引き上げ、その上で爆発が誰の仕業なのかを明らかにする以外にない。2002年に南北間で発生した第2次延坪海戦直後、沈没した韓国海軍の130トン級警備艇「チャムスリ(オオワシ)」を引き上げるのに17日もの期間を要した。従って、チャムスリよりも10倍近い重さがあり、しかも真っ二つに割れた状態の天安を引き上げるには、チャムスリのときよりもさらに多くの時間がかかるだろう。

 天安が北朝鮮の機雷あるいは魚雷の攻撃を受けて沈没したことが事実として確認された瞬間、大韓民国は国家的次元での新たな対応を決断しなければならない。状況によっては戦時に準ずる国家体制も覚悟すべきだろう。その決定的な局面を迎えた場合には、政府と軍、さらには政治・経済・社会の各界をはじめとして、国民全体が心を入れ替える必要がある。政府は国民が政府を信じて従うことができるよう、原因の究明と行方不明者の捜索ならびに救助、さらにはその後予想されるさまざまな事態に対しても徹底した備えを行わなければならず、それにはわずかのすきも見せてはならない。不幸中の幸いは、3000トン級のサルボといった米軍の救助艇や駆逐艦など4隻が、29日から西海ペンニョン島付近の海域で、韓国海軍と合同作戦を行うことになっている事実だ。このような時ほど韓米両国の協力体制が円滑に進む様子を示して国民の不安を和らげ、また国際社会が韓半島(朝鮮半島)の安全保障に不安を感じることがないようにしなければならない。

 与野党もその瞬間からは党派的な利害関係を超え、国の将来を共に憂える姿を示さなければならない。国民も政府による事故処理や真相解明の過程を見守りながら、この国家的な危機を共に克服できるように力を合わせなければならない。今は間違いなく危機だ。大韓民国の底力を発揮すべき時だ。

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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