2010年03月28日

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留学生が「就職力」上げる

内定率95%の地方大学、その秘密は

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編集部 澤田晃宏


大分空港から車に乗り、約1時間。ぐねぐねと曲がる坂道が続く丘の上に、立命館アジア太平洋大学(別府市、以下APU)がある。この道を、大手企業の採用担当者が続々とやって来る。

キャンパスの表示は日本語と英語。世界97カ国、地域から集まった「国際学生」と呼ばれる約2500人の留学生が、学部学生の約44%を占める。

国際学生も合わせた昨年の就職内定率は95・6%。1期生を出した04年以降、95%以上の高い水準を維持している。

高野憲治就職部長は言う。

「昨年に比べると、今年は厳しい。それでも、昨年同様、約400社が大学を訪れ、会社説明会を開いています」

採用先には富士通、三菱重工業、ヤマト運輸など、誰もが知る大手企業の名前が並ぶ。

「日本にいながら、日本人学生、国際学生ともに毎日国境を越えている。海外展開する企業が増えるなか、高いコミュニケーション能力が評価されている。現地で獲得する日本語のできる人材と、日本の文化、風習に慣れ親しんだ人材は、全く違う」

◆自然と国際感覚身につける

コミュニケーション能力とは、単に語学力ではない。

日本公文教育研究会に内定した山瀬聖さん(22)は、最終面接でこんな質問を受けた。

「インドネシア人と韓国人とアメリカ人と4人でチームを組んで何かをするとき、あなたは何に気をつけますか?」

インドネシア人にはフレンドリーに接する。韓国人は年齢や階層意識が強い。自己主張の強いアメリカ人に対しては、ひとまず意見を聞く──APUで自然と身についた感覚だった。

公文が世界展開していることも知っていた。世界から集まっている学生が、公文のプリントで勉強している姿も見ていた。海外展開している企業を狙ったのには、世代的な感覚もある。

「景気の悪い時代しか見てこなかった。これからは国内だけを相手にしている企業では駄目だと漠然と感じていました」

秋田市にある国際教養大学では、昨年12月時点で今春卒業する就職希望者すべての内定が決まった。04年開学と歴史は浅いが、1期目の卒業となる08年は100%、昨年は99.1%と高い就職率を誇る。同校の特徴は1年間の留学と、入学後1年間、海外留学生と暮らす寮生活が義務付けられていること。授業はすべて英語だ。源島福己キャリア開発室長は、こう話す。

「語学留学ではなく、英語"で"学んで単位を取得しなければならない。語学力や国際感覚はもとより、苦労を乗り越えた経験が評価されています」。

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