「聡明な学生が欲しいです。日本はモノを作り続けなければ生きていけない国。
グローバルな視野でものづくりにこだわってくれる人を求めています。」
【CHAPTER 1 : 陸海空の諸製品をつくる会社】
<高柳>
以前の社名は石川島播磨重工でした。 いつIHIに変わったのですか?
<水本>
2007年7月です。
前の年に50年ぶりに本社が大手町から豊洲に本社を移転しました。
同時に社名も変えると混乱するので、1年後になったのですけど、
グローバルな企業として生き残っていくためには世界で通用する社名がいいと、
通称だったIHIを正式社名にしたのです。
<高柳>
IHIの歴史は長いですよね。創業はいつですか?
<水本>
嘉永6年。1853年です。
<高柳>ペリー来航の年ですよね?
<水本>
黒船を見た幕府が洋式軍艦の必要性を感じて
水戸藩に作らせた石川島造船所がIHIの起源なんです。
まさにペリ−がきっかけ (笑)
会社としての設立は明治22年に平野富二という人が官営の造船所を借り受けて、
民間の洋式造船所として事業化した事から始まりました。
そのあと船に搭載する機械を作って、機械産業、プラントへと発展して、
現在のような世界中に社会インフラを納める企業に成長してきました。
<小宮>
いま会社の規模はどのくらいですか?
<水本>
売り上げは連結ベースで1兆4000億円。
従業員24,000人です。国内の関係会社が93社で海外に95社あります。
<小宮>
大きすぎてちょっと想像がつかないですね (苦笑)
最近はどんな事業をやっているんですか?
<水本>
私たちは一言で「陸、海、空の諸製品を作っています」と言います。
陸上部門だと、物流、鉄鋼事業、機械事業、エネルギー、プラント事業。
これが当社の売り上げの約6割を占めています。
LNGプラントに関しては日本の5割のシェアです。
小さな機械だと自動車に搭載するターボチャージャーを作っていて世界3大メーカーの1つ。
アメリカ、ドイツ、イタリア、中国、タイに生産拠点を持っています。
空は航空、宇宙。ジェットエンジンの生産は日本の7割を担うトップメーカーです。
宇宙開発では宇宙実験室の「きぼう」の船外プラットホーム開発を担当したりしています。
最後は海。これがIHIの起源。
造船から船上にプラントを乗せてしまうということも、今ではやっています。
例えば現地でLNGにしてそれを日本に運ぶ事業をやっているのですが、
もっと中小規模のガス田から取ろうとしたら、
そこに基地をつくるより船でやった方がいいという発想です。
<小宮>
ちなみに同じ様な規模でやってる企業でいうと、どんな会社が挙げられますか?
<水本>
日本では重工業がひとつの産業。三菱重工や川崎重工があります。
それぞれ得意としている分野が違いますが、
ものづくりを一生懸命やろうという日本企業の代表になっていると思います。
<小宮>
IHIのいちばんの強い部門は何ですか?
<水本>
ジェットエンジンやLNGプラントです。
【CHAPTER 2 : 社員ひとりひとりが変革を求められる時】
<高柳>
この先、目指している方向性は?
<水本>
企業には変わるものと変わらないものがあると思うのですが、
「技術と人を大切にして、ものづくりで世界に貢献したい」これが変わらない点です。
一方で環境がすごく変化しています。
スピーディーに対応してグローバルな企業として成長するために、
いろんなパラダイムシフトをしなければいけないと考えています。
世界的に環境やエネルギーに制約があったり、新興市場が非常に重要になってきたり、
人やお金や物が国境を越えて移動するようになってきた中で、
新しい時代に向けたものづくりのために、
社員ひとりひとりが自己変革を求められる時にきています。
<高柳>
社員の方たちの意識はどんなところにありますか?
<水本>
IHIを目指してくれる方は、何か大きい物を作りたいとか、社会に貢献したいと思っています。
とはいえ会社も儲けなければいけません。
そんな中で生き残っていくという事を皆で考えましょうというところだと思います。
【CHAPTER 3 : 採用人数は毎年約200人】
<小宮>
来年4月の新入社員の数は決まっていますか?
<水本>
技術系157人、事務系47人、計204名が内定しています。
<小宮>
ここ数年の採用人数増減はいかがですか?
<水本>
多少の増減はありますが、毎年200人前後の一定の数は確保しようと考えています。
<小宮>
そろそろ2011年度の新卒採用がスタートしている頃です。
<水本>
まだ数字としては出ていないのですがセミナーを始めたところです。
<小宮>
学生の集まり具合はいかがですか?
<水本>
去年よりも反応がよく、早いですね。
それはIHIだけでなく、たとえばメガセミナーでは去年の2万人が3万人となっています。
<高柳>
水本さんは人事担当をされてどのくらいになりますか?
<水本>
実はまだ1年です。
私自身はエンジニアで、ずっと技術開発本部で風の研究をしていました。
あらゆることには「風」という空気の流れが必要です。
ジェットエンジンもプラントで大気中に出る煙突の煙がどう吹くのかも風の仕事ということで。
<高柳>
そういった方も異動して人事担当になるんですね。
<水本>
人事をやれと言われた時に「なぜ私がやるのだろう」と考えました。
弊社は8割の社員が技術系です。
だから技術の人間が一緒に働きたい人を採用してもい良いだろうと言う事で引き受けました。
<小宮>
技術の部門にいた時と人事に来てから、
その前後で何か感じることはありましたか?
<水本>
会社にとって人材がどれほど大切なものかを実感しました。
受身であることから能動的に会社をいかにPRして本当にどんな人と働きたいのか、
まず私自身が考えなくてはいけないということが一番大きかったですね。
<小宮>
水本さんが考えるIHIに必要な人材とは?
<水本>
聡明な学生が欲しいです。
日本はモノを作り続けなければ生きていけない国。
グローバルな視野でものづくりにこだわってくれる人を求めています。
そして、モノを生み出すと考えた時に、問題を発見する聡明さが欲しいんです。
挑戦する志しと、みんなで協力して出来ないことをできるまでやり続ける人が必要です。
でも、全て1人に求めるのではなくて、挑戦、共感、実践、
なにかひとつ「これだけは負けないぞ」という人たちが集まって、
ものづくりを支えて欲しいと思います。
<小宮>
IHIさんの就職試験に来る学生に見られる入社動機の決まったパターンはありますか?
<水本>
あります。「子供の頃から飛行機が好きで・・・」というものです (苦笑)
<小宮>
いそうですね(笑) 学生のみなさんは気をつけて下さいね。
【CHAPTER 4 :会社と学生に相性はあります】
<高柳>
就職が難しい一方で、簡単に辞めたり、転職する人が多いというのが日本の実情です。
IHIでは働く意味を感じてほしい、就職活動の視野を広げて欲しいという思いで
企業が行ってるセミナー「ジョブスタディ」に参加しているそうですね。
<水本>
辞めてしまう理由は2つあると思います。
「自分には向いていない」というケースと「思っていたのと違う」というケース。
辞めて自分探しをするといいますが、そんなの一生探しても見つからないと私は思います。
まずは与えられた仕事を好きになるくらいまで一生懸命やってみる。
その結果で成長している自分を発見できるのだと思います。
そうはいっても確かに相性の良し悪しはあります。
合わないのに自分を偽ってじっと耐えるのは辛いもの。
そういうミスマッチをなくしたいという採用担当者の思いで「ジョブスタディ」が始まりました。
私も昨年パネラーをやったんですけど、人間味あふれる人事担当が本音を熱く語っている、
面接というのは試験ではなくて、お見合いだと思うんです。
社風を知るというのが大事で、そのためのいい機会だと思います。
<高柳>
何社くらいの会社がどういう人に向けて開催しているんですか?
<水本>
33社が参加しています。
パネルディスカッションをして、面白いなと思った担当のところに学生さんが話を聞きに来る。
我々も真剣勝負をしなければなりませんが、そこでは選考はしていません。
説明会ですがIHIの規模や歴史ではなくて「こんな会社です」という話を直接聞けるきける場です。
株式会社IHIのWEBサイトはこちら!
http://www.ihi.co.jp/
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採用グループ 部長 水本伸子さん - [ 2009/11/17 ]
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