仮設トイレの方が…

笹山美穂(18)
小柄でマジメな高校三年生。大人しい性格だがルックスは良く、男子の中では密かに美穂を好いている人も多い。


「今日、学校から帰る頃にはもう使えるからね」

(今日までか、長かったなぁ)
 美穂は庭に設置された仮説トイレに入り、スカートとパンツを下ろすと昨日からためていた小便を一気に放出させる。

シャーーーーーーーーー
 
(ふー。スッキリした)
 小便がすむと、端に置かれたバケツから水をすくい便器に流す。
 この薄暗い和式の仮説トイレで用を足すのも今日で終わり。月曜日から始まっていたトイレの工事も今日の昼頃には終わるである。

「いってきまーす」
 玄関の扉を少し開け挨拶をすませると、勢いよく家を飛び出した。
 今日からトイレが使えるようになると思うといつもより元気が湧いてくる。それもそのはず、美穂の試練も今日が最後なのだ。

―――キーンコーンカーンコーン―――

(やっと、六時間目だ。これが終わればスッキリできる)
 ふと、お腹を触ると通常時よりはるかに膨らんでいるのが確認できる。そう、美穂はここ5日間「大便」を排泄していない。
 というのも美穂は極度の恥かしがり屋で、学校ではおろか、家でも大便をするという行為に抵抗がある。ましてや仮説トイレという特別な環境で大便をするということに強い羞恥心を抱いていた。

(このままの調子で行けば大丈夫そうかな…)

!?

(何?)
 美穂は突然腹部に違和感を覚えた。ズーンとした重い衝撃。

(ど、どういうこと?)
 今週は常に大便のことに気を使っていただけあって、すぐに最悪の状況が予想された。

(まさか…っう!!??)
 腹部の違和感からさほど時間を置かずやってきたのは、強い便意だった。それと同時に冷や汗がせきを切ったかのように流れだす。
 美穂が考えていた最悪な状況に陥ったのだ。

(そ、そんな。まだ授業が20分も残ってるのに)
 混乱する頭の中、冷静にどうすべきか考えた。先生に「トイレに行きたい」と申し出るか、このまま20分を耐えぬくか。
 その考えはすぐにまとまった。このまま授業が終わるまで耐えよう。
 通常ならば学校で大便をするという行為は、恥かしくて出来るものではない。だが、今の便意では家まで我慢することは到底無理である。
 この授業は六時間目。上手く我慢できれば、皆が下校した後に排泄できるかもしれない。だが、そんな甘い考えも1分と持たなかった。

グギギギギギギ

 腹部に更に強い圧迫間と共に、先より強さを増した便意が襲い掛かる。何度かお腹をさすってみるが何の気休めにもならない。
 もともと快便体質である美穂が5日間も大便を我慢したのには無理があった。
 肛門にあたる便の感触は、下痢便のそれとは違い、しっかりと形が残っているものだ。しかし、あまりに溜まった便は下痢便に引けをとらない位の勢いで肛門をこじ開けようとしている。

(ううう、トイレ行きたいよぉ。こんなところでおもらししたら…)
 その先を考えるとゾッとする。目には涙が浮かんできた。
 こんなことならお家でしとければ良かった。今となっては仮説トイレの排便を恥かしがっていた自分が憎くて仕方がない。

(ダメ、、、もう我慢出来ないよぉ)
 残り時間10分にして美穂の肛門は限界を迎えていた。無意識のうちに小刻みに震えるのは、便意の細かな波と戦っているからだ。

(でもやっぱり、トイレに行きたいなんて恥かしくて言えないよ…後10分、、お願いだから漏れないで)
 もう、5分と持たない気がしていた。それでも奇跡が起きるのを信じたい。
 その時、隣の男子が美穂の異変を感じ話しかけてきた。

「笹山さん、大丈夫?気分悪いなら保健室いきなよ」
 美穂はその言葉を聞き、思わずハッとした。そうだ、何も「トイレ」というワードを出すことないんだ。何故気付かなかったんだろう。
 本来、保健室に行くと言い出すことすら恥かしいと思う美穂であるが、この際そんなことを気にしていられない。

(よし、言おう)
 そう心に決めて、声を出そうとした瞬間だった。

「笹山、この問題やってみろ」
 なんと、先生に問題を解くよう指名されたのだ。
 あまりのことにビックリし、思考回路がまともに働かなくなる。
 指名されたからといって、気分が悪いから保健室に行きたいと申し出れば、それを止める教師なんてそうそういないはずだ。だが、今の美穂の頭ではそんなことすら考えられないでいた。

「おい、どうした笹山。お前だったら簡単に解けるだろ」
 成績優秀である美穂は、難問になると指名されることが多かった。

(早く解いてトイレにいかなくちゃ…)
 もう、便意のことで頭がいっぱいの美穂は言われるがままになるしかなかった。
 立ち上がるとフラフラと黒板の前まで歩く。チョークを持ち問題を解こうとしたときだった。

グググググググ

 ものすごい便意が美穂を襲う。内股で不自然な格好になりながらも必死に便意を耐え抜こうとする。

(いや、こんなところで漏らしたら、、、皆見てるのに、、)
 チョークを持つ手が震え、体もガクガクと振るえ出した。

「おい、どうしたんだ笹山。調子悪いのか?」
 その言葉をかけるのはあまりにも遅すぎた。

(もうダメ。。。漏れちゃうよーーーー)

ムリムリムリ

 お尻に、生暖かい感触がした。同時に鼻を突く異臭が取り巻く。美穂はとうとう限界を超えてしまったのだ。
 ただ、唯一の救いは下痢便ではないこと。肛門から排泄された便は、パンツを膨らませはしたものの、その場にとどまった。
 だが、便は最後まで出きったわけではない。耐え切れなく出たのは、ほんの一握りだ。

(ああ、出ちゃったよ。漏らしちゃったよ。早くトイレ行かないと、、、まだ出そうなのに)
 美穂はチョークを持ったまま、先生に向かい小さく「トイレ行かせて下さい」とつぶやく。
 先生は「大丈夫か?言って来い」と答えた。周りの生徒達は異変には気付くものの、臭いも充満しておらず、誰一人と美穂が大便を漏らしたことには気付いていない。

(早く行かないと、、、また出ちゃう。皆にばれちゃうよ…)
 一歩一歩、教室の扉に向かい歩きだす。歩くたびにお尻に気持ち悪い感触が伝わってくる。しかし、今はそんなことどうでもいい。とにかくトイレに向かわないと…

ガッ!!???

 美穂の視界が激しく動く。

ドタン!!!

 自分の身に何が起きたか分からない。気が付くと床に手を突き、四つんばいの様な格好をしている。
 そして、肛門対する集中が一気に解かれた。そのことに気付いたときには時すでに遅し。

ムリムリムリムリムムム

 腸に収められていた大便が次々と飛び出てくる。5日間貯めていたそれは、固形といえども一度肛門の気を緩めると止めることが出来ない。

(え!?いやいやいやいやーーーーーーーーーーーーー)
 先ほど出した大便の何倍もの量の便が排泄される。臭いも強烈で、とても高校三年生の女の子の体から出たものとは思えない。
 しかも最悪なことに、便の量にキャパシティを超えたパンツから、ボタボタと固形便が落ちていく。
 やがて教室はざわめき始め、「漏らした?」「うんこ」などと言う言葉が美穂にも、かすかに聞き取れた。

「ヒック、ヒック、ヒッヒッ、ヒック」
 人生最悪の現状に、美穂はその場から全く動くことが出来ず、四つんばいのまま下を向き、涙を流し続けている。

「おい、佐々木。保健室までいけるか?」
 美穂はそういって手を差し伸べる先生の手を取り、立ち上がると、そのまま手を引かれ保健室へと歩いていった・・・


「今日さ、うちのクラスの笹山って女がウンコ漏らしたんだぜ」
「マジかよ、どんな感じで漏らしたんだ?」
「それがさ、六時間目だったんだけど、終わる10分くらい前に先生に問題解くように言われて、前にでてきたのはいいんだけど様子がおかしいの。そんで、ふらっと歩き出したかと思ったら、教壇踏み外して派手に転んだんだよ。その衝撃かしらないけど、ブリブリってさ」
「えーーマジかよ。見たかったなー」
「いやいや、最悪だぜ。臭いし、ウンコ転がってるしさ。にしても笹山っておとなしいけど顔はかわいいじゃん?俺、実は狙ってたんだけど、こんなことあったら気持ちも冷めるって」
「そうだよな。もしお前が笹山と付き合ったらウンコマンってよんでやるよ」
「あはははは。大丈夫だよ付き合うことねーからさ」

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