JR東日本 [らりるレビュー]
「山手線」
昔から日本人で、この路線を知らない人はほとんどいないだろう。
山手線が全国的に知られている大きな理由はグルグルと何周もまわっているからで、ビジネス客も多く利用することもある。まさに“ドル箱路線”である。ちなみに車内に1~2か所、コンセントがついており、ノートパソコンや携帯電話の充電ができる(但し、優先席では電源OFF)。
しかし、山手線がダウンすると大きな混乱を招き、これが全国的なニュースとして、報道されてしまう“宿命”があり、この1年のあいだで3回も起こっている。
1回目は2005年11月17日(月曜日)8時15分頃、有楽町-神田間で架線がたるむアクシデントが発生し、13時過ぎまで運転を見合わせ。京浜東北線も巻き添えを食った。
2回目は2006年2月20日(月曜日)7時過ぎ、新橋-浜松町間で線路の下の道路工事終了後、レールが2センチ沈んでいたことが発覚し、外回り(東京から品川、渋谷、新宿、池袋、上野を経て、東京に戻るルート)は11時まで運転見合わせ。
3回目は2006年4月24日(月曜日)10時30分過ぎ、高田馬場付近で道路工事を行なっており、線路下にコンクリートを流し込んでいたが、なぜか膨れ上がり、レールが最大5センチも盛り上がったため、山手線と並行している湘南新宿ラインの運転士が急停車。山手線は16時過ぎ、並行の埼京線は18時過ぎまで運転見合わせ。埼京線と同じ線路を走る湘南新宿ラインはこの日の運行をとりやめる事態となってしまった。
JR東日本は2005年12月25日(日曜日)、特急〈いなほ14号〉新潟行きで突風による脱線横転事故が発生し、5人の犠牲者を出しているが、トラブルが多過ぎるような印象を受ける。脱線横転事故は予測のできない事態だったかもしれないが、気象警報が発令されているにもかかわらず、運転見合わせ(あるいは運転打ち切り)などといった安全策をたてていなかったことに疑問を感じる。定刻より1時間も遅れていれば、回復することはないのだから。
さて、JR東日本だが、なにかを仕掛けると、全国的に広まる印象がある。今回はそれを検証してみたい。
①自動改札機の普及
時代が平成に入ると、有人改札から自動改札機に切り換えた。元々、自動改札は関西の私鉄で普及していたというが、JR東日本が導入してからは都市を中心に爆発的に進んだ。今では“都会的なところ”は必ずついている。
また、自動改札機に直接入れることができるプリペイドカードを開発。「イオカード」という名でスタートし、関西の私鉄では「スルッとKANSAI」、関東の私鉄では「パスネット」という総称で、“よその鉄道会社でも利用できる”という、共通化も進められた。しかし、イオカードはすでに販売と自動改札機の利用を打ち切り、パスネットも2007年で生産を終える予定。
②優先席の普及
平成9年(1997年)春からシルバーシートを「優先席」に改めた。
今まで、シルバーシートはお年寄りや体の不自由な方に限定されていたが、これを妊娠中や子連れのお客にも拡大したもの。また、首都圏の電車は各編成に1~2両しかないのがほとんどだったが、これを各車両に拡大した。
これも全国的に広まり、今ではシルバーシートが死語になっていて、意味のわからない子供も多いだろう。また、2003年9月から「優先席付近では電源をお切りいただき、それ以外はマナーモードにして、通話は御遠慮下さい」という注意放送が始まり、全国的に広まった。これはよその会社が独自にやっていたことで、JR東日本を含む関東の鉄道数社が一致団結したもの。なにはともあれ、JR東日本が加わると、全国的に爆発的に広まることに変わりはない。
但し、女性専用車は関東で火がついたものの、関西で爆発。関東では“再構築”を余儀なくされたため、JR東日本は火つけ役になることはなかった。
③ICカードの普及
2001年秋からICカード乗車券、Suicaが登場(定期券とイオカードの2種類)。機能については、らりるレビュー「Suica」で紹介したので省略するが、これも普及しつつある。
2003年からJR西日本が「ICOCA」、関西の私鉄は共通利用の総称として、「PiTaPa」を導入(JR西日本のICOCAと相互利用できるようになった)。また、2006年秋からJR東海の「TOICA」、2007年からJR北海道(カード名未定)と関東の私鉄では「PASMO(共通利用の総称で、JR東日本でも相互利用できるようになる見込み)」を導入し、プリペイドカードが死語になる日も遠くはなさそうだ。
2005年は鉄道の安全性が問われ、2006年4月25日(火曜日)放送の『ズームイン!! SUPER』で福知山線脱線事故から1年たち、負傷や、遺族の補償交渉があんまり進展していないことを知った。JR西日本は「事故調査委員会の報告待ち」と逃げ腰の様子だという。
そして、2006年2月1日(水曜日)からJR西日本は新社長になったが、電車通勤をして、まれに運転席に乗り込んでいるという。
新社長は若手運転士にあれこれきいていたが、「ブレーキがちょっと…」と弱音をはいていた。だいたい運転席のうしろにお客がいるというのに、そんなことを言っていいのか。こんなようでは“客離れ”や信用回復を遠ざけることになりうる。そういう弱音はお客のいないところでやってもらいたい。
新社長は現場の声を反映したいと言っていたが、どこの企業もそうあって欲しいものである。
あの事故後、JR西日本は何度か諸国漫遊で利用しているが、気になるのは大阪駅の改良工事が進んでいることと、山手線みたいに液晶モニターを装備した電車が走り始めたということである。
おそらく、事故の前から決まっていたことなのだろうが、補償交渉が完全に終えてからやるべきだろう。こんなようではいつまでたっても、補償交渉に進展はあるまい。だいいち、事故調査委員会が発表するまでもなく、非はJR西日本にあることは明白なのだから。
そして、JR西日本の労働組合が日勤教育の苦痛により、本社を訴えた。今まで報道でズサンな日勤教育の実態が明らかにされているのだから、労働組合が勝つだろう。
★備考
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②今回の記事は2006年5月に執筆したもので、一部、修正しております。
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2009年の汽車旅2-1(岸田法眼のRailway Blog.Season 5 2009-07-05 02:08)
◆納得のいかぬ臨時格下げ 2009年3月19日(木曜日)22時50分頃、JR東日本東京へ。9番線にはJR東海373系が止まっているものの、折り返し、快速〈ムーンライトながら〉大垣行きではなく、回送。5日前のダイヤ改正で、快速〈ムーンライトながら〉は定期運行をやめてしまったのである。但し…[続く]
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先生お久しぶりです・・・
6050系はやめました・・・ちょいとあの車、気に入らないことがあったので・・・=いろいろ気が変わる駄目な子です
・・・検定ごっこも外れ、まだまだ修行が足りません駄目な子です
鉄道安全について、meもひとこと・・・
経営者は、安全への投資は絶対であり重要とか口には出しますが
腹の中では間接投資としか思っていないでしょう・・・それより、銭が銭を生み出す直接投資の方が優先されると
安全装置はヒューマンエラーを防ぐための支援装置に過ぎないので結局は人間教育が重要=社員を多く抱えなければならない
安全装置による本質的安全化は、フールプルーフとフェールセーフが両立していなければならない=コスト増大
したがって、本音は安全第二では?
・・・鉄道は人命を預かっている装置産業だということを忘れてはいけない!
こう思います。。
by me-co (2009-04-27 22:02)
me-coさん、どうもありがとうございます。
企業の多くというものは利益重視の傾向にあるようですね。利益がなければ、会社はやっていけません。つまり、つぶれてしまい、失業者が路頭にあふれ出すということですね。
しかし、誰かが会社を起業した以上、すべての面において、安全を最優先するのは当然のことです。鉄道以外の事故もそうですが、安全対策は起きたあとに万全を期すということが多いのが残念でならないですね。手抜きをするのはカンタンなことですが、事故が発生するとバレる恐れが高いわけですから、人の安全を最優先にするのは企業の1番大事にしなければならない努めです。
JR東日本はあの事故以降、強風対策を真摯に取り組んでおりますが、JR西日本は迷走だらけですね。たとえ、真摯に取り組んでいるとしても、人にそれが伝わらなければ、「取り組んでいない」わけですから。
会社というのは常に信用第一ですから、難しいものですし、多くの会社(出版社)からの執筆依頼を受けるライター業も信用第一です。
by 岸田法眼 (2009-04-28 00:17)