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【社会】

塩事業法人 剰余金444億円 国債など年10億円超増

2010年3月30日 07時04分

 旧日本専売公社から家庭で使う塩の販売を引き継いだ財団法人「塩事業センター」(東京都品川区)が、事業で得た利益などで国債や社債を年々買い増しし、保有残高は約四百四十四億円(二〇〇八年度末時点)に達していることが、本紙の調査で分かった。 

 塩の販売は専売公社の独占事業だったが一九九七年に専売制度が廃止され、事業は日本たばこ産業(JT)を経て、センターに移された。塩の販売のほか、三カ月分程度の備蓄事業も行っている。

 センターは家庭用塩では国内で50%を超えるシェアを持ち、燃料が高騰した近年でも年五億〜十五億円程度の利益を上げてきた。

 これとは別に、大量保有する国債などの売却(償還)益が年四十億円以上あり、利益と合わせて年五十億円以上も新規の国債投資を続けてきた。その結果、保有額は毎年十億円以上増え続け、〇八年度末は国債や社債など七十七銘柄で四百四十三億五千八百万円。

 このほか基本財産の国債など五十五銘柄で約三百十五億円と備蓄倉庫なども合わせ、約九百六十二億円の正味財産があり、公益法人の平均額(約八億五千万円)の百倍以上と突出して裕福な財団だ。

 センターや、監督する財務省は巨額の国債保有について、「安定的かつ安価に全国に塩を供給し、備蓄事業も行うためには必要な資産だ」と説明する。

 しかしセンターは法人税などで優遇され、民間から税制面での不平等を訴える声も出ている。どこまで公益法人で同様の事業を続ける必要があるのかが問われそうだ。

(東京新聞)

 

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