池上彰は停滞したTV界の救世主になれるか？

　この番組には企画段階では予想していなかった現象が生じました。番組を毎週楽しみにしていたのは子どもだけでなく、むしろ大人達の方が真剣に見てたそうです。もうお判りでしょう。この「週刊こどもニュース」のコンセプトを、そのまま応用したのが、池上キャスターの番組なんです。

■知ったかぶり解消プログラム

　少し前に、テレビの企画で、国会議員の先生がたに抜き打ちテストして、「イラクの位置はどこ？」って聞いたら、誰も答えられなかったことがありました。「情けないっ!!」と、有識者から2ちゃんねるまで、よってたかって糾弾し、馬鹿にしてましたが、なに、そう言ってる人だって判ってたかどうか怪しいもの (もちろん、当ガイドも知りませんでした)。

　連日イラク問題を伝えるニュースでも、イラクの位置までは教えてくれません。それでも誰もが真剣な顔でイラクの情勢に心を痛めてたわけです。どこにある国かも知らないのに。そういう、一億総知ったかぶり状態から脱するためにも、池上さんの解説は非常に有効なわけです。

　この前も「ドバイショック」で話題のドバイについて、番組の中で池上さんは基礎の基礎から解説していました。これを見てドバイがUAE(アラブ首長国連邦)の中の国なんだと、初めて知った人も少なくないんじゃないでしょうか(当ガイドも含めて)。

■でもなんで、池上さんだけにオファー殺到なの？

　「池上彰の学べるニュース」などの一連のニュース解説番組は、池上さんが過去に担当した「週刊こどもニュース」を練り直したものと、前ページで述べました。ただ、そこに新たに付け加えられた演出があります。それは「池上先生の話を聞く生徒」という役柄に、いわゆる「ひな壇タレント」を配置したことです。

　この演出自体は「世界一受けたい授業」(日本テレビ)など、先例はいくつもあります。でも、もともとの意図は「週刊こどもニュース」で、池上本人が「お父さん役」を演じ、子ども達にも納得できるようにニュースを解説したことに繋がってる気がします。

　このお父さん役が根底にあるからこそ、親しみのある雰囲気の中でレクチャーできるのでは。現代社会に対する幅広い知識を持ち、おバカタレントにも判るよう噛み砕いて説明する表現力を駆使し、にもかかわらず決して上から目線になることのない親しみやすさを備えている。この3要素を兼ね備えている人物が、周囲に中々見当たらないからこそ、民放各局は争って、池上彰メインの番組を制作してきたんでしょう。

　と、ここまで書いたところで、残りスペースもなくなってしまいました。この続きはいずれ近いうちに必ず。

【お笑い・バラエティ番組ガイド：広川峯啓】

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