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【日本代表チーム 新監督就任記者会見】岡田武史監督のコメント(※質疑応答を追加掲載しました)(07.12.07)

本日、日本代表チーム 新監督就任記者会見が行われました。

●川淵三郎キャプテン:

「みなさん、こんにちは。今日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。オシム監督が病に倒れて今日で3週間が経過しました。奇跡的な回復と言われていますが、まだ予断を許さない状況が続いています。が、意識がある程度戻り、家族のみなさんといろんな話ができる状況まで回復されているのは嬉しいことです。その間、日本各地や世界からお見舞いや励ましをいただき、病院関係者にも献身的な治療の努力をしていただいたことを、日本サッカー協会としてオシム家に成り代わってお礼を申し上げたい。

この状況をオシム監督自身、十分理解していません。その中で苦渋の決断をして、新しい監督を選ぶことになりました。ご家族の気持ちを十分斟酌(しんしゃく)しつつ、こまめに状況を提供し、新しい監督の話を進めてきました。オシム監督が元気になられた時、やむをえなかったことと理解していたけると思うし、そういう日が来ることを祈っています。今日、強い覚悟を持って決意してくれた岡田監督に心からの感謝と敬意を表したいと思います」

●岡田武史監督(日本代表):

「今、キャプテンから話があったように、オシムさんが代表監督を続けられないという状況になり、彼の無念さを思うと心が痛みます。私もこういう形で話をもらった時、人生は分からないものだと思いました。1週間前まで全く考えられなかったこと。考えれば考えるほど引き受けられないなあと思いました。ですが、何かやらなきゃいけない、トライしなければいけないという気持ちになった。それで、あまり深く考えずにやりますと言いました。やるからには日本がワールドカップに出るために、やれる全ての力を尽くしたい。これからいろいろあると思いますが、みなさんとできる限り、いい関係を築いて行きたいと思います」

Q:まず小野技術委員長との交渉で決め手になった理由は? 大胆な出来事などあれば教えてほしい。
「先ほど言ったように、正直、正式に返事するまでに自分の中で決めたのは理屈ではなかった。今まで上った山も同じ山ばかりだったけど、横を見たら断崖絶壁の山があって、チャレンジしなければいけないと思った。一番はそういう気持ちが沸いてきたことです。でもオシムさんが倒れる1週間前にはJリーグのチームからのオファーをお断りしていた。でも今回、自分の中で何かがふつふつと沸いてきた。だから条件とかも聞かずに決めました」

Q:97年に続くスクランブル登板となりますが、今回は少し時間的余裕があり、オシム監督の基盤もあります。今後のチーム強化の見取り図は?
「今まで日本代表、コンサドーレ札幌、横浜F・マリノスと監督を務めましたが、いつもうまく行っていないから代わってくれという話でした。が、今回は決してうまく行っていないチームではない。自分の色を出してチームを作っていくのは得策ではありません。1月15日から10日間ほどの合宿を予定していますが、オフ明けのこのキャンプだけで新しいチームを作れるほど、私は自信家ではない。でも私にはオシムさんのサッカーはできません。オシムさん以外にはできない。それでもできる限り、今あるものを生かして少しずつチームを作っていくのがベターだと考えています。ただ、日本人のコンセプトという意味では誰がやっても変わらないと思います」

Q:2月6日にワールドカップ予選がスタートしますが、10年前と違っていることは何か? 日本やアジア、岡田さん自身の話でも結構だが。
「10年前から10年が過ぎたということ。だいぶ違っています。まずサッカーを取り巻く環境。当時は日本中がワールドカップを知らず、クレイジーな状態になっていました。今は全体の環境や雰囲気も落ち着きがあります。10年前に引き受けた時、チームはどん底で、絶体にワールドカップはダメとも言われました。まさに追い込まれた時の就任でした。しかし今はまだ予選が始まっていない。成績はこれから出る。その違いがあります。あの時は僕も若かった。自分の中でともかく必死でした。自分も年を取って、人間として少々、丸くなった(笑)。昔ほどみなさんに辛く当たることもないと思います」

Q:川淵キャプテンに質問ですが、岡田さんに求める目標は何か?
「そりゃあもう、ワールドカップに出場して予選リーグ突破というチームを作ってほしいです」

Q:来年の1月15日から10日間の合宿を予定しているということだが、具体的なスケジュールは?
「12月中に1日だけ選手を集めようと思っています。今、協会にお願いしています。選手を見極めるということもある。もうオフに入っている選手もいるでしょうが、選手たちにはそこまでコンディションを保ってほしい。その合宿では練習試合を考えています。その後、どういう心構えでオフを過ごしてほしいか、公式戦を迎えてほしいかなどを選手たちにサジェスチョンするつもりです。15日からキャンプをやり、キリンチャレンジカップを2試合やって、ワールドカップにのぞむ。そういうスケジュールです」

Q:先ほど、オシム前監督のサッカーはできないと言いましたが、岡田監督の具体的なコンセプトを教えてほしい。
「コンセプトは変わりません。人もボールも動くサッカーというものの。日本人が世界で戦う上でのコンセプトは変わりません。できるだけコンタクトを避けた状態で攻撃をしかけていく。ディフェンスも待っているのではなく、こちらから行くというスタイルです。オシムさん以外できないというのは、誰がやっても変わらざるを得ないという意味です」

Q:オシムジャパンに入っていなくて構想にある選手はいるのか?
「大枠の中ではある。沢山はいませんが、1〜2人はいます」

Q:海外組については?
「今、スケジュールを調べていて、どこでどう呼べるかを検討しているところです。試合に出ている出ていないというのもある。チームの戦力になるかどうかが大事。試合前日に帰ってきて、すぐに試合に出して、コンディションが悪いとか、そういうリスクは負えません。トータルに考えて戦力になるかどうかを考えたいと思います」

Q:川淵キャプテンに質問ですが、オシムさんが回復された場合、どういう立場にするのか?
「あの方は知性のある方。日本サッカーに貢献したいと彼が言うならばそうしてほしい。早くそうなってほしいと思います。今は病に倒れていることを十分認識していない状態ですから、回復を待って話し合いを進めたいと思います。ご家族にも懇切丁寧に説明して理解してもらっています」

Q:今回の代表監督就任だが、契約期間は? ワールドカップ予選と五輪代表の活動がかぶることも出てくるが、下の年代はどう融合するのか?
「契約期間はまだ聞いていません。条件はまだ…」(ここで川淵キャプテンが回答)「ワールドカップ本大会まで絶対にやってもらいます。反町監督は五輪専任になると聞いています」
(再び岡田監督が回答)「ソリは専念するんで、ベンチには入りませんけど、時間があればキャンプにも来てほしいし、スタッフミーティングにも出てほしいと言っています。五輪とのことは、ソリも選手を代表でどんどん使ってほしいと言っている。こことここだけは返してほしいという話もしている。彼のことは昔からよく知っていて、話もしているんで、これからもコミュニケーションを取っていきたいです」

Q:Jリーグクラブのオファーを断ったということだが、今回も前回もスクランブル登板ということになった。こうなることを運命的に予感していたのか?
「10年前のことはよく覚えていないんですけどね…。もう1度、代表監督になることは全く考えていませんでした。前回と今回のスクランブルについても、人生って分からないものだなと思っています。Jリーグのオファーを受けていたら、今回この話は受けていなかった。でもJのオファーを受けた時は何かが違うと感じた。こちらの話についても、まさかこんなことがあるとは思っていませんでした。来年もこういうことをしたいと計画もしていたし。でも、それを吹っ飛ばすほどのものでした。だからやってやろうと思った。逃げちゃいけない、チャレンジしなきゃいけないと。運命的ではなく、感覚的にそう思った。自分自身はあまり運命とは思っていません」

Q:これまでオシム監督の日本代表をどのように評価していたか?
「そうですね…、僕は評価はできませんけど、少なくともやろうとされていることは感じ取れていました。ボールを早く動かして攻めるということは。ある程度、全員が押し上げた状態でやりたかったんだろうなと。しかしオシム監督の中では過渡期だったんじゃないか。それでも、こうしたいんだなと感じていました。人のチームを見ていて、そういうことを感じるのはそうない。僕はチームの内情は知らないし、オシム監督とはしばしば話はしてましたけど、そういう話を聞いたわけではなかった。それでもそう思っていました」

Q:10年前に代表監督をやった時、日本サッカー協会のサポート体制が不十分だったと感じたようだが、今回はそのことを話したのか?
「10年前は若かったですからね…(笑)。今回は何も言っていません。キャプテンや技術委員会からももっと言っていいんですよといわれるんだけど。コーチ陣のことを信頼してますし、私からは要求してません。私自身、そういうことを受け入れられる年齢になったのかなと思います」

Q:1年と少し現場から離れていたが?
「ずっとやっている人の方が少ないと思いますよ。そういうことは全然考えていません。そんな些細なことが不安なら、こんな大きな仕事は受け入れられません。1年半、現場から離れたことは、いろんな意味で勉強というか、いい経験になったかなと思います」

Q:12月に1度、招集すると話していたが、選手選考のポイントは?
「来年の1月15日から10日間のキャンプはオフ明けだし、そこで全体的に新たなチームを作る自信はありません。今までの土台を生かしたいと思っています。今まで呼ばれた選手を中心に、現在の状態、ケガをしているとか、コンディションがどうかとかを考慮して選ぶことになります」

Q:コーチ陣はどうするのか? ご自身の健康面はどうか?
「コーチに関してはまず今までの土台を引き継ぐので、急には代えられません。彼らの力がなければやっていけない。彼らを最大限生かしていきたいと考えています。健康については至って元気だと思っていると逆に危ないと言われる。ずっと人間ドックにも入っていません。4〜5年前に行ったらどこも悪くなくて、高いお金を払って損したと思ったことがありました(笑)。でも今年の年末は行こうと思っています」

Q:オシム監督のサッカーが過渡期だったと言われたが、具体的に岡田さんなら何を肉付けしていくのか?
「今はあんまり言わない方がいいですね。オシム監督が元気になれば、雑誌とかの対談を企画してくださいよ。僕も聞いてみたいですから(笑)」

Q:浦和レッズがACLで優勝しましたが、世界との距離はどう変わっているか?
「10年前よりは確実に進歩していると思います。日本サッカー協会を含めて指導者もオーガナイズできていて、それで今の地位があると思います。みんなが好き勝手やっていたら、今の地位はない。いろんな努力のおかげで浦和レッズもACLで優勝できたと思います。来年はACLに3チームも出るんですよね。代表の日程もかなり入ってくる。それに出る選手たちはものすごく日程が過密になりますね。あ、この話は質問とは関係ないねえ(苦笑)」

Q:ワールドカップ3次予選をどう戦うつもりか?
「まずは15日からの合宿があり、2月6日のタイ戦を戦って、1試合1試合を振り返りながらステップアップしたいと考えています。トータルでチームを作る時間はない。オフ明けの10日間以外は全て試合直前の招集になる。ただ、6月だけは1ヶ月選手を拘束できますから、ある程度のことはできると思う。まずは2月6日のタイ戦に勝つことを目指したいです」

Q:川淵キャプテンに伺いますが、6月の4試合で1ヶ月拘束できるという話だが、Jリーグとの日程調整は終わっているのか?
「ほとんど合意できています。ワールドカップのスケジュールを見て、2〜3日の余裕ができたんで、Jリーグの試合を水曜から木曜に変えるとかそういうことも考えています。日本代表に選手を招集することに全面的にサポートしていく方向です」

Q:日本代表監督のプレッシャーはすごいと思うが、家族の反応は?
「日本代表監督のプレッシャーはあなたより私の方がよく知っていると思いますよ(笑)。家族はまさか引き受けるとは思わなかったらしい。一様に驚いた様子でした。でももう知らないと言ってましたよ(笑)」

以上