【社説】サービス業を冷遇しては雇用は生まれない
韓国開発研究院(KDI)は、経済が1%成長するごとに創出される雇用機会が2000年の10万2000人分から05年には7万5000人分に減少したと指摘した。最近はさらに5万-6万人分まで減少したとみられる。経済が成長しても雇用が増えない「雇用なき成長」へと急速にシフトしている。
最大の原因は製造業分野における技術の進歩で、労働生産性が高まっていることだ。つまり、以前より少ない労働力でより多くの生産が可能になった。企業経営が世界規模に拡大し、雇用機会が海外に移転してしまったことも一因だ。これまでは建設業が多くの雇用機会を提供したが、最近は外国人労働者に雇用を奪われている現実もある。結局、成長さえすれば雇用機会が生まれた時代は去り、過去に大量の雇用を提供してきた製造業、建設業中心の成長に焦点を合わせていては雇用問題が解決できないとの結論に至る。
専門家は、今後の新たな雇用政策はサービス業に焦点を当てるべきとの意見で一致している。10億ウォン(約8100万円)を投資した際に生まれる雇用機会は、製造業の6.6人に対し、サービス業は2倍近い12.6人に達する。しかし、韓国の雇用に占めるサービス業の比率は66.7%で、経済協力開発機構(OECD)全体の平均(71.8%)より低く、1980年の日本やドイツとほぼ同じ水準だ。先進国に比べ30年遅れていることになる。これまでサービス業は製造業に比べ規制が多く、恩恵は少ないなど冷遇されてきた。
こうした状況から脱却するためには、議論ばかりしているのではなく、行動に移すことが必要だ。専門職の資格試験合格定員を増やし、参入障壁を撤廃するといったプランをめぐり、官庁間で意見が異なり、対策は前に進まないままだ。サービス業の成長対策は数多く示されたが、雇用創出につながるものはほとんどない。
まず、教育、医療、グリーン産業などの分野で思い切った規制緩和を行い、起業しやすい雰囲気をつくることが必要だ。これら分野の技術開発や経営革新にも、製造業に提供してきたような税金減免、金融支援などの恩恵を与える発送が必要だ。日本では世界的企業が海外にため込んだ剰余利益を日本に持ち込んで投資すれば、税金を減免する制度を導入し、多くの企業がそれを活用しているという。韓国も雇用創出につながるならば、大企業にそうした恩恵を与えることを検討すべきだ。いかなる行動も起こさず、大統領府(青瓦台)が雇用戦略会議を繰り返してばかりいても、雇用が生まれるはずはない。
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