【社説】李健煕会長の復帰とサムスンの責務
李健煕(イ・ゴンヒ)前サムスングループ会長が24日、サムスン電子会長として復帰した。特別検事による裏金事件の捜査に対し、「過去の過ちはわたしが全て抱えて去る」という謝罪声明を出し、2008年4月に辞任してから1年11カ月ぶりのことだ。
サムスンは同日、「世界経済の不確実性が高まり、世界的な事業機会を先取りするため、李会長の経験とリーダーシップが必要だ」と復帰理由を説明した。李会長もインターネットの簡易投稿サイト「ツイッター」で「今は本当の危機だ。世界の一流企業が崩壊している。サムスンもいつどうなるか分からない。今後10年以内にサムスンを代表する事業や製品は大部分が消えるはずだ。出直さなければならない。ぐずぐずしている時間はない。前に向かって進もう」と復帰に当たっての心境を明らかにした。
サムスンは韓国を代表する企業だ。韓国の輸出全体に占める比率は20%を超え、韓国の税金全体の8-10%を払っている。昨年韓国が米国で登録した特許8782件のうち40%を超える3611件がサムスン電子によるものだ。サムスンは昨年、世界経済が低迷する中、過去最高の業績で韓国経済の回復をけん引した。昨年末時点の為替レートで計算したサムスン電子の売上高(米ドル建て)は1170億ドルで、米ヒューレット・パッカード、独シーメンスを抜き、電子業界で世界1位に浮上した。
しかし、輝かしい業績の裏で、サムスンに忍び寄る影を懸念する声がではじめている。サムスンは携帯電話とテレビで市場をリードしているが、急成長しているスマートフォン、3次元(3D)テレビではライバル企業に後れを取っている。冷蔵庫爆発、技術流出といった事故が相次ぎ、投資決定が遅れるなど足並みの乱れも見られる。昨年後半から流れていた李会長の復帰説はそうした状況を背景としたものだ。
平昌冬季五輪の誘致に向け力が必要だとして、李会長は昨年末に政府から単独特別赦免を受けた。しかし、李会長が述べた「過去の過ち」について、倫理的、道義的責任の問題が赦免と同時に自動的に解消したとは言えず、李会長の復帰はサムスンが道徳的、倫理的に生まれ変わる契機になることが求められる。
サムスンは世界的企業であると同時に韓国企業だ。世界共通の規則を守らなければならないのみならず、透明な経営と社会的貢献を通じ、階層や地域に関係なく、韓国の国民全体から愛される企業にならなければならない。政官界、法曹界、学会、言論界に行き過ぎたサムスン人脈を構築し、必要に応じて人脈を使い、「国家の中の国家」と呼ばれることが、果たしてサムスンの将来に役立つかを深く考える必要がある。サムスンはトヨタ自動車のように、トップのおごりにというわなに落ちないように警戒し、不確実性に満ちた将来に備えるべきだ。李会長はサムスンが次の世代、その次の世代にも生き残れるように、経済的遺産と同時に、道徳的な土台も引き継がなければならない。
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