無罪判決を受け、支援者にあいさつする堀越明男さん=29日午前、東京高裁前 赤旗配布で逆転無罪 罰則適用「憲法違反」公務員の身分で共産党機関紙「しんぶん赤旗」を近所に配ったとして、国家公務員法違反(政治的行為)の罪に問われた元社会保険庁職員堀越明男被告(56)の控訴審判決で、東京高裁の中山隆夫裁判長は29日、罰金10万円、執行猶予2年とした一審判決を破棄、逆転無罪を言い渡した。 中山裁判長は判決理由で「被告の行為は職務と関係がない単発的行為で、行政の中立的運営と国民の信頼という保護法益が損なわれる危険性を認めるのは難しい」と指摘。 「被告の行為に罰則規定を適用することは国家公務員の政治活動の自由に対し、限度を超えた制約を加えていると言わざるを得ず、表現の自由などを保障した憲法に違反するとの判断を免れない」と述べた。 さらに、公務員の政治的行為について「相当許容的になっている。さまざまな視点の下に刑事罰の対象とするかどうかや、その範囲などを再検討する時代が到来している」と異例の付言をした。 弁護側は「配布は職場と離れた場所で休日に行った。公務に影響のない私的行為で、行政の中立性を侵害していない」と無罪を主張していた。 【共同通信】
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