【コラム】わたしたち韓国人も英雄がほしい(下)

 このほか、本来の趣旨とは裏腹に、本人に害が及ぶのではないかという判断も働いたようだ。左派などが一斉にあら探しをすれば、予想外のバッシングに見舞われる恐れがあるということだ。ペク将軍は、日本が植民地支配をしていた時期に、満洲軍の陸軍中尉を務めていたことから、昨年11月に親日反民族行為真相糾明委員会が発表した「親日反民族行為者」リストに名前が挙げられ、批判が集中したという経緯がある。

 一方、ほかの理由はただのこじつけだろう。国防部に二の足を踏ませたのは、予備役将校たちの反発があったためと思われる。しかし、3年以上にわたって続き、韓国軍の死傷者だけで100万人以上を出した戦争で、一つもミスがなかったというのは考えにくい。ペク将軍にも過失は少なからずあったことだろう。こういう時は、功績と過失を比較し、評価するのが望ましい。ペク将軍の場合は、明らかに功績のほうが過失を上回るだろう。

 ペク将軍の名誉元帥への推挙は、将軍一人の名誉を高めるだけではない。6・25戦争に参戦した韓国軍全体の名誉と、同時代を生きた韓国国民の自負を高める行為だ。また、名誉元帥を一人に制限する理由もない。予備役大将で、功績が明らかな人物がいるならば、さらに何人でも名誉元帥に推挙できるだろう。これ以上、英雄作りにケチをつける必要はないのではないか。

李東翰(イ・ドンハン)社会部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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