第272号ホームへ 園遊会に出席して −医学部長 吉村 博邦
  平成17年10月27日、赤坂御苑において開催された天皇皇后両陛下ご主催の「秋の園遊会」に、全国医学部長病院長会議会長ということで文部学科省の推薦を受けご招待の栄に浴する機会を得た。今回の招待者は、宇宙飛行士の野口聡一さん、名古屋万博の名誉会長の竹下景子さん、ベトナム民間大使の杉良太郎さんなど約1700名で、各界の功労者ということであり、私自身、特段の功労があったわけではなく面映い限りであったが、誠に光栄なことと喜んでいる。これも一重に北里大学の皆様のご支援の賜物と厚く御礼申し上げる。
 当日は、朝方は雨模様だったものの、昼前から雲1つなくすっきりと晴れ上がり、園遊会が始まった午後1時には、やわらかい秋の日差しが降り注ぐ絶好の秋日和となった。
 赤坂御苑は、迎賓館に隣接した閑静な森に囲まれており、皇太子殿下ご一家のお住まいの東宮御所や秋篠宮ご一家のお住まいもある広大な敷地を有している。御苑の周囲には、東宮御所正門、鮫が橋門、東門、南門、西門の5つの門があり、私は、家内ともども神宮外苑に近い西門から苑内に入った。林に囲まれた数百メートルに及ぶ小路を抜けると、受付のテントがあり、「北里大学医学部長」と記された名札をもらい、侍従の方から苑内を自由に散策して下さいと云われた。広々とした芝生の庭園内に入ると、ところどころにテントがあり、飲み物と軽食が用意されており、三々五々いすとテーブルに座って招待者同士、談笑がかわされている。苑内には、大小2つの池があり、大きい方は、長径500m以上の巨大なもので、2つの池の周囲は散策路になっており、ここが都心かと見間違うほどに鬱蒼たる林に囲まれている。両陛下がお着きになる前に、2つの池の周りをゆっくりと散策することが出来た。
 午後2時過ぎに、軍楽隊の君が代の演奏に迎えられるように天皇皇后両陛下、皇太子殿下、秋篠宮同妃両殿下、紀宮様、常陸宮同妃両殿下が到着され、小泉総理大臣はじめ三権の長が出迎えた後、いよいよ、招待者の列をお言葉をかけながらのご巡幸が始まった。
 私は、巡幸開始から比較的すぐの場所に並んでいたためか、皇族方からゆっくりとお言葉をかけて頂いた。天皇皇后両陛下からは、「ようこそお越し下さいました。」と私ども1人ひとりに軽く会釈をされながら迎えて頂き、皇太子殿下は、私の名札を見ながら「北里大学ですか。何人くらい学生さんがおられますか」など気軽にお声をかけて頂いた。また、秋篠宮殿下は、つかつかと寄ってこられて、「ああ、前にお目にかかりましたね。」とお声をかけて頂いた。実は、2000年にパシフィコ横浜で「第11回世界気管支学会議」を会長として主催した折に、秋篠宮同妃両殿下には開会式にご臨席頂きご挨拶を頂いたことを覚えていらしたようで、「はい、2000年に横浜で世界気管支学会にお越し頂きました」とお答えすると、紀子様に向かって「ほら、あの横浜の時の会長さん」と紀子様を呼び寄せられた。学会前に、ご臨席のお願いに秋篠宮邸をお尋ねしたときの話になり、「あの時、殿下が、魚にも癌があるんですよとおっしゃったことを良く覚えております」と申し上げたところ、「ああ、そうでしたかね」などと話がはずんだ。紀子様がにこにこしながら近づいていらしたので、「あの時殿下に、会場には何をご用意致しましょうかと申し上げたところ、灰皿を1つ用意しといて下さいとおっしゃったのを覚えております」と申し上げたところ、「まあ」などとおっしゃって、お笑いになり、楽しいひと時をすごさせて頂いた。紀宮様も最後の皇族としてにこやかにお廻りになっておられた。皇族方は、本当に、招待者1人ひとりに丁寧に対応をされておられ、暖かいお気持ちが全員伝わり和やかな園遊会となった。帰り際に、宮内庁御用達のお菓子を頂いて赤坂御苑を後にしたが、ゆったりとした秋の1日を楽しむことが出来た。北里大学医学部を代表して招待頂いたことに、改めて、皆様のお蔭と心から感謝申し上げ、報告とさせて頂く。
(教授・胸部外科学)


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