前回記事:現職警察官らによる“犯罪”~千葉県警の場合~(2)
http://www.janjannews.jp/archives/2927388.html
過去2回にわたって、千葉県警の現職警察官らが、市民を言葉巧みに〈微罪処分書〉に誘導する手口を紹介した。現在のところ、Aさん側に実害が生じることなく2年間が経過したようだが、水面下では〈占有離脱物横領罪〉でAさんを押し切ろうとする警察署と現職警察官らの行為を〈虚偽公文書作成罪〉として指弾するAさんとの間で、かなりの駆け引きがあったようだ。
今もAさん(40代・男性)は、市民を〈冤罪〉に陥(おとしい)れようとした警察官らを何とか刑事告訴まで持ち込もうとしている。この事件が起きたのが2008年2月7日、Aさんが最初に警察署を訪れたのは2月10日である。
それから2年経った、今年2月12日、Aさんは、千葉県警察本部、6階応接室で、警務部理事官(兼警務部警務課長代理)の大津賀浩二警視(役職は当時、現在は交通捜査課に異動)と向かい合っていた。そして、具体的にどこの警察署かは伏せて、前2回の記事で紹介したような警察官らの“仕事ぶり”について相談をしたという。大津賀警視も事態を重く見て、今後何かあれば捜査二課(菅潤一郎課長)が対応に当たる旨をAさんに伝えた。
(1) 「誰かがそれをやめさせなければならない」
考えようによっては、「たかが自転車」なのだが、どうしてAさんは2年近くもこの事件にこだわるのか。「理由は、いくつかあります」とAさんは言う。
「2004年に発覚した、兵庫県警自動車警ら隊の隊員らによる〈微罪処分書〉などの捜査書類ねつ造事件ですが、この時は13人もの隊員らが実績(=ノルマ)を伸ばすために虚偽の書類を作成したとして、虚偽有印公文書作成・同行使の疑いなどで書類送検され、最終的に160人を超える処分者が出ました。けれども、兵庫県警の事件で、私が心配するのは、処分された警察関係者の多さだけではないのです」
そう言って、Aさんが見せてくれたのは、同じ事件を伝える別の記事だ。
朝日新聞(04年7月1日付)記事によれば、「書類の偽造に携わったとされる警察官の一部が、その摘発実績を評価されて県警から表彰を受けていた」「『摘発件数が多い』『職務質問の能力が優れている』などの理由で表彰を受けた隊員が多数含まれていた」という。さらに「水増しされた評価が表彰の対象となり、隊員の昇進にも影響したとみられる」と記事には書かかれている。
「兵庫県警のように、不正な文書偽造で、警察官らの表彰・昇進が左右されるとすれば、それは恐ろしいことです。いつしか警察官らによる不正行為が蔓延(まんえん)し、善悪の感覚が麻痺し、その麻痺した感覚のまま、彼らは市民と相対(あいたい)するようになります」
「ふたつめは、この記事です」
Aさんは、さらに別の記事(08年8月28日付・毎日新聞)も見せてくれた。それは、交通事故の調書を偽造したとして、新潟県警交通企画課の警部補が虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで逮捕されたというものだ。このケースはAさんが私服警察官らに声を掛けられた半年あとの報道だ。
「新潟県警のケースでは、偽造は30~40件に及ぶと県警側が見ていることが記事に書かれています。つまり、今、私が述べたようなことです。この41歳の警部補は、何かのきっかけで〈虚偽有印公文書作成〉に手を染めたのでしょう。初回は、この警部補だって、どきどきしながら書類をでっち上げたのだと思います。でも、それが2回、3回と重なるうちに、だんだんと理性と言うか、良心の痛みが鈍(にぶ)くなって、最後には、何の罪悪感も無く、むしろそういう手法を使ってでも手早く効率よく“仕事”をこなしていくことが当たり前になっていったのだと思います。私は、いちばんはじめに4人の私服警察官がいきなり自宅を訪れ、そして去っていく後ろ姿を見送りながら『これはやっかいなことになるぞ』と直感したのは、彼らがおそらく新潟県警の場合と同じく、これまでも数多く、似たようなことをやって来たことがわかったからでした。そして、今回のことに私がこだわるのは、もし不正が横行しているとすれば誰かがそれをやめさせなければならないからです」
「私が、この事件にこだわる3つ目の理由があります。神戸新聞の報道によれば、警察官らが被害者に返すべき自転車の何台かを駅前駐輪場に放置していたそうです。私の場合も、ずいぶんとあとになってから警察署は『自転車はもともとの持ち主に還付(かんぷ)した』と言うのですが…、ちょっとそれは考えられません」
そのあと、Aさんは、警察官らが“押収”して行った自転車が、“持ち主”のもとに返されていないと思われる理由を話してくれた。まだAさんは刑事告訴前なので、紙面には書けないが、例えば次のような事例を考えたら、「自転車が正当な持ち主のもとに返された」といった警察署の説明にAさんが疑念を抱くのもわかるはずだ。
例えば、ある自転車の黒いサドルを茶色いサドルにつけ変えておく、ハンドルを替えておく――といったことのされた自転車を、もとの持ち主が見たら、その自転車を見て、必ず次のように的確に以前との違いを言えるはずだ。
「この茶色いサドルは、私のものではありません」
「このハンドルも、私が乗っていた時とは違っています」
明らかに、自分の所有物でないものが自転車についていた場合、それを黙って自分のものであるかのように乗り続ければ、今度は、逆に、その“正当な持ち主”が〈占有離脱物横領〉の罪に問われることになる。
写真1を見てほしい。これは私服警察官らが持ち去ったのとは別の自転車である。もともとAさんは、中学生の子どもに自転車の修理法を教えるために、アパートに置き放しの、すでに持ち主が引っ越したあとの自転車などでパンクの直し方等を教えたという。

「いま、携帯電話もそうですが、どうかすると自転車も使い捨てですよね。しかし、物は使い捨てにしながら、〈リサイクル〉〈再利用〉〈エコ〉などという言葉が流行しています。もちろん、私だって、打ち捨てられたものが、〈占有離脱物〉か〈無主物〉かぐらいはちゃんと判断できますよ」
写真1の自転車は、よそから譲り受けた廃物同様の自転車をAさんが2人の子どもに直させたものだという。前輪の泥よけだけではなく、もともと27インチの自転車フレームに、後輪だけ26インチのタイヤがつけ替えられている。たしかに、ここまでのことは自転車屋ではやらないだろうから、Aさんが「物を大切に使うこと」を教えるために「はずしにくい後輪のタイヤ交換を中学生の子どもにやらせた」というのは、まんざら嘘ではなさそうだ。
「もし、このような形で、廃物同然の自転車を誰かが直して乗っていたとしたら、“正当な持ち主”とやらは、どう思うでしょう。私だったら『ここまで大切に使い続けてくれてありがとう』と言うかもしれませんし、近所だったらそういう人に会ってみたいと思います。私服警官4名が“押収”していったものも、それ〔→写真1〕と似ていて、本当の持ち主が見れば、ある理由から仰天していたはずなのです。それなのに、“正当な持ち主”から警察署を通じて何の連絡も無いということは、…兵庫県警と似たようなことが起きているのかもしれませんね」
そう言って、そのあとAさんは、もう少し詳細を話してくれた――。
(2) 約3週間後、警察署から回答が届く
2008年3月、私服警官らの突然の来訪があってから約3週間、Aさんからの問い合わせの手紙に対して、警察署長から手紙が届く。それがA4用紙1枚の写真2、3月5日付手紙だ。

~~~~~~~~以下、引用始め~~~~~~~~
○ ○ 様
千葉県( 略 )あてのお手紙を拝見しました。
今回の申出について調査した結果、警察官の職務質問等については、街頭犯罪抑止のための正当な職務行為であり、現に捜査中の事案でありますので、あなたへの回答は差し控えさせていただきます。
なお、今後は、真相を解明するためにも事情聴取にご協力いただきたいと思います。
今後のお問い合わせにつきましては、○○警察署(電話番号…省略)地域課長までご連絡ください。
~~~~~~~~以上、引用終わり~~~~~~~~
その3月5日付の手紙に対して、Aさんは新たに警察署長宛て手紙を出す。
~~~~~~~~以下、引用始め~~~~~~~~
○○警察署長 ○ ○ 様
○○警察署地域課長 ○ ○ 様
拝 啓
過日、お返事(3月5日付)を頂きました。
私が今回( 省 略 )にまで出向いて、疑問を申し上げたのは、いくつかの点で、○○警察署警察官の言動は、刑事訴訟法、犯罪捜査規範、警察官職務執行法、地方公務員法、及び警察庁の「犯罪捜査適正化指針」(08年1月)などに抵触していると考えられるからです。
一般社会で、職務に関して法令違反の疑念を持たれた場合、そうではないことを関係者、特に監督責任を負う者は明らかにしなければなりません。今回のケースも、何人かの警察官の言動について、法令に抵触するのではないかとの質問があったわけですから、責任ある立場の方が、きちんと説明責任を果たされるのが「すじ」であり、「捜査中の事案」かどうかは、全く理由にはならないのではないでしょうか(回答したからと言って、捜査に支障が出ることはありませんし、むしろ、回答しないことで、それ以降の適正な捜査は一切期待できなくなるように思います)。
特に、今回書面を拝見し、私が重く受け止めたことがあります。つまり、あの3月5日付書面は、読み方によっては、組織として、一部警察官の法令・指針に違背する行為を容認することになるということです(その意味で、あの書面は、たった1枚ですが、非常に重大だと私は考えています)。
今回の例に限らず、現場の警察官が何かのはずみで〈勇み足〉をしてしまうことはよくあることでしょう。人間誰しも誤りはあります。但し、それについて指摘があった場合に、上の者が適切に責任をもって対応できることが必要ではないでしょうか。一警察官が、現場で〈勇み足〉の言動をとることと、( 省 略 )から回ってきた事案について、3週間の調査期間を経て○○警察署が組織として回答する場合とでは、意味がまるで違います。
今回の返答について、後述のように私はとりあえず留保しますが、○○警察署長名で為された今回の回答について、再考の余地は十分にあると考えています。
2点確認しておきます。
私が、今回のことについて、わざわざ( 省 略 )宛てに書面を提出してまで現状を正して頂きたいと考えるのは、今回の警察官(4名)はおそらくこれまでにも同じようなことを繰り返して来たと推測されるからです。そしてまた、○○警察が組織として、あのような言動を容認すれば、これからも、ああいった法令や指針を無視した“取り調べ”が続けられていくに違いないからです。私自身に関しては、引き続きN、S両巡査部長、あるいは、それに加勢する警察官が今後何人来ようと、適切に応対することができます。けれども、法律にあまり詳しくない一般の市民が、あのような巧妙かつ高圧的、威嚇的な態度で“取り調べ”が演出される中で犯罪を認める書類に署名を求められた場合、はたして、その市民の人権が適正に守られるのか甚だ疑問です。
今回は、たまたま占有離脱物横領という“微罪”の嫌疑で、あのような手法が露見しました。しかし、今回私にかかわった警察官は、“微罪”だから法令に定められた手順を無視する…ということではなく、これからも、効率・スピード重視で“犯人”と目星をつけた人間に署名・捺印をさせていくのではないかと私は危惧しています。だからこそ、あのような一連の行為は、誰かが正さなくてはいけないし、「適正ではなかった」との認識を関係者間で共有することが必要なはずです。
もう一点、私は自分にかけられた嫌疑について、現場警察官の不適正な職務執行と“相殺”するつもりは全くありません。私は、いろいろな経緯について、きちんと説明できます(むしろ、私は話したくてうずうずしています)。私としては、いろいろなことについて話がしたいのに、それを「ありえない、ありえない」と聞く耳を持たず、犯罪を認める書面に(上半分を手で隠して)強引に署名させるような態度に出られては、話のしようがありません。(ひとつ「秘密の暴露」をします。次のことは( 省 略 )宛てには知らせていないことです。私は、2月10日に両巡査部長に呼ばれて○○署を訪れた際、私は2通の書面を持参していました。1通は、これまでの経緯等を記したもの、もう1通は○○署長宛て書簡です。私は、○○警察署内で事態が適切に解決されるのであれば、とりたてて事を大きくするつもりは当初からありませんでした。10日について言えば、私の持参した2通を、N、S両警察官が受け取りを拒否し、その際に威嚇的な言動もあり○○署内では適正な扱いは期待できないと感じて、2月12日に2度目の( 省 略 )訪問となった次第です。
総じて「ボタンのかけ違い」に類することは、とにかく気がついたら早めにかけ違いを直すこと、これに勝る方法はありません。世間でも、小さなかけ違いをそのまま強引に押し通したり、糊塗したりした結果、組織の責任者がカメラの放列の前で苦渋の表情を浮かべる場面を目にします。どうしてもっと早く誠実に事に当たらなかったのか、私は不思議に思うことが少なくありません。
今後ですが、一度責任ある立場の方と私とが直接会い、忌憚なく意見交換をしたほうがよいかと思います。顔を合わせずに書面のやり取りだけですと、どうしても表現も固くなります。今回の件は、(正すべき点については正さなくてはいけませんが)、大のおとなが頑なに対立し続けるような事例ではないようにも感じます。
私は以前にも○○署長の時に、現場警察官の好ましくない行状について、地域官の方にご尽力頂いた経験があります。ですから、現時点では、今回のことについても、あまり悲観していません。「3月5日付書簡」については、いったん読まなかったことにして、ご連絡をお待ちしたいと思います。もちろん、本状に対して、返答をしない、前回の返答を繰り返すことも、選択肢として可能です。但し、前述の通り、私は今後の○○市の市民生活を憂慮して、今回の件を正そうと思っているので、うやむやにすることは絶対にありません。その点のみ、銘記頂ければ幸いです。
以上 長々と書き連ねましたが、よろしくご判読下さい。
敬 具
2008年3月14日
~~~~~~~~以上、引用終わり~~~~~~~~
尚、Aさんは手紙の中で「N、S、両巡査部長」と書いているが、正確には「N巡査部長とS巡査長」である。
書簡の中の「今後ですが、一度責任ある立場の方と私とが直接会い、忌憚(きたん)なく意見交換をしたほうがよいかと思います」との提案を受けて、Aさん宅に地域課長から電話があり、3月23日に、Aさんと地域課長とが直接会って話をすることになった。
(3) 警察署地域課長との面会(08年3月23日)
2008年3月23日、Aさんは地域課長と会うために地元警察署を訪ねた。警察署に着くと、地域課長とともに、地域課長代理の警察官も出て来た。よくある「複数での対応」というものらしかった。Aさんは、警察署内の、パーテーションで区切られた階段踊り場のような場所ではなく、今度はきちんとした室内で、ふたりと話し合った。
「私は、3月23日当日までに、いろいろと情報を仕入れていましたし、準備万端でした。何よりも、こちらの「隠し玉」は〈虚偽公文書作成罪〉でした。私は、それまで何回も地域課長らと電話でも話していましたが、〈虚偽公文書作成罪〉という言葉は、手紙でも電話でも、ひとことも発しませんでした。もし言えば、警察は組織防衛に必死になると考えたからです。当日も、話をすること以上に、私からの書面を地域課長に手渡すことが目的でした。どうせ密室で話をするとなれば、あとで『言った/言わない』の水かけ論になることはわかっていたからです」
室内で、しばらく話をしたあと、Aさんは初めてN巡査部長、S巡査長らのやっていることは刑法156条の〈虚偽公文書作成罪〉に当たるのではないか――ということを口にした。すると、Aさんと話をしていた、地域課長の顔から、さっと血の気が引いたという。
「いやぁ、それはこっちが焦(あせ)りましたよ。だって、『おまえ、そんなことまで調べたのか』と、態度を豹変させて、どこかからピストルでも持って来られやしないかと……、それは冗談ですが、顔から血の気が引き、唇が小刻みにふるえて来るのがわかりました。同時に、『やった!』と思いました。それまでの疑問が、一気に確信に変わった瞬間でもありました」
あなたの部下のやっていることは〈虚偽公文書作成罪〉ではないか。他府県ならば、とうにそういう警察官は逮捕されているはずだ――Aさんはこう言い放ち、地域課長と横の課長代理を見すえた。すると、地域課長は、うわずった声で「…そんなこと、あるわけないじゃありませんか、そんなこと〔注・部下の犯罪を見逃すようなこと〕をやっていたら、私がコレですよぉ」。そう言って、地域課長は、両手を差し出し、手錠をはめられる仕種(しぐさ)をしたという。
その後、確信を得たAさんは、用意してきた書簡を地域課長に手渡し、早々に警察署から退出した。以下に、その書簡全文を掲げる。
(4) 警察署長宛ての手紙(08年3月23日付)
○○警察署長 ○ ○ 様
○○警察署地域課長 ○ ○ 様
前 略
今回のN、S両警察官他計4名の行為は、富山での冤罪事件(氷見事件)に似た性質を持っているのではないかと私は考えています。
つきましては、次の3つの書面について、後日原紙を確認させて頂きたいと思います。
〔1〕2月7日、S巡査部長が道路ぎわにかがんでその場で書き上げて私に署名・捺印させた書面
〔2〕2月7日、N巡査部長が、あらかじめ文面を署内で書き上げて持参し、私に署名・捺印させた書面
〔3〕2月10日、上半分をN巡査部長が手で隠し、はじめに家内に署名・捺印させた書面(私は内容について十分な説明がなく、両巡査部長が警察庁の「捜査適正化指針」をご存知なく、発言も適正さを欠くものであったので、署名を拒否した用紙です)
特に、今回私が関心を持っているのは〔1〕の書面と〔3〕の書面の内容の齟齬です。〔1〕の書面では、S巡査部長は「後日○○署に出向いて事情をお話します」という趣旨のことを書いて、私に署名・捺印を求めました。しかしながら、10日に○○署に伺った際に、N巡査部長が手で隠して私に署名させようとした書面は「私は、占有離脱物横領の罪をおかしました。そのことについて深く反省し、今後は2度とそのようなことは致しません」といった趣旨の、犯罪を認め反省する内容ではなかったでしょうか。「○○署に出向いて話をします」という書面に署名させて警察署に呼び、実際には「犯罪をおかしました」という用紙を準備しておくという方法には、肝心の「本人の説明をよく聞く」という部分が抜け落ちているように思います。これが果たして適正な捜査と言えるでしょうか。特に、非常に早い段階でN巡査部長は〔2〕の書類を作っています。これら一連の手法について、その適否を、○○署として認めるのかどうか、私はきちんとした説明をお聞きしたいと思います。
以上、○○警察署長○○様、○○警察署地域課長○○様のほうで、責任を持って、上記書面をご準備して頂きたくお願い致します。
草 々
2008年3月23日
◇
2年前に、Aさんが地域課長に手渡した手紙に対して、今も回答は無いという。次回(最終回)、真相究明を求めてN巡査部長に迫るAさんに、警察署のとった奇策とは?

〈関連記事〉
◎神戸新聞「自転車を被害者に返していたように装う」
http://www.kobe-np.co.jp/backnumber/04kenkei/0630ke35760.html
◎神戸新聞「被害者に返還と見せかけ、駅前駐輪場に放置」
http://www.kobe-np.co.jp/backnumber/04kenkei/0701ke35860.html
◎神戸新聞「県警、2年分8500件の書類を調査」
http://www.kobe-np.co.jp/backnumber/04kenkei/0720ke38980.html
http://www.janjannews.jp/archives/2927388.html
過去2回にわたって、千葉県警の現職警察官らが、市民を言葉巧みに〈微罪処分書〉に誘導する手口を紹介した。現在のところ、Aさん側に実害が生じることなく2年間が経過したようだが、水面下では〈占有離脱物横領罪〉でAさんを押し切ろうとする警察署と現職警察官らの行為を〈虚偽公文書作成罪〉として指弾するAさんとの間で、かなりの駆け引きがあったようだ。
今もAさん(40代・男性)は、市民を〈冤罪〉に陥(おとしい)れようとした警察官らを何とか刑事告訴まで持ち込もうとしている。この事件が起きたのが2008年2月7日、Aさんが最初に警察署を訪れたのは2月10日である。
それから2年経った、今年2月12日、Aさんは、千葉県警察本部、6階応接室で、警務部理事官(兼警務部警務課長代理)の大津賀浩二警視(役職は当時、現在は交通捜査課に異動)と向かい合っていた。そして、具体的にどこの警察署かは伏せて、前2回の記事で紹介したような警察官らの“仕事ぶり”について相談をしたという。大津賀警視も事態を重く見て、今後何かあれば捜査二課(菅潤一郎課長)が対応に当たる旨をAさんに伝えた。
(1) 「誰かがそれをやめさせなければならない」
考えようによっては、「たかが自転車」なのだが、どうしてAさんは2年近くもこの事件にこだわるのか。「理由は、いくつかあります」とAさんは言う。
「2004年に発覚した、兵庫県警自動車警ら隊の隊員らによる〈微罪処分書〉などの捜査書類ねつ造事件ですが、この時は13人もの隊員らが実績(=ノルマ)を伸ばすために虚偽の書類を作成したとして、虚偽有印公文書作成・同行使の疑いなどで書類送検され、最終的に160人を超える処分者が出ました。けれども、兵庫県警の事件で、私が心配するのは、処分された警察関係者の多さだけではないのです」
そう言って、Aさんが見せてくれたのは、同じ事件を伝える別の記事だ。
朝日新聞(04年7月1日付)記事によれば、「書類の偽造に携わったとされる警察官の一部が、その摘発実績を評価されて県警から表彰を受けていた」「『摘発件数が多い』『職務質問の能力が優れている』などの理由で表彰を受けた隊員が多数含まれていた」という。さらに「水増しされた評価が表彰の対象となり、隊員の昇進にも影響したとみられる」と記事には書かかれている。
「兵庫県警のように、不正な文書偽造で、警察官らの表彰・昇進が左右されるとすれば、それは恐ろしいことです。いつしか警察官らによる不正行為が蔓延(まんえん)し、善悪の感覚が麻痺し、その麻痺した感覚のまま、彼らは市民と相対(あいたい)するようになります」
「ふたつめは、この記事です」
Aさんは、さらに別の記事(08年8月28日付・毎日新聞)も見せてくれた。それは、交通事故の調書を偽造したとして、新潟県警交通企画課の警部補が虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで逮捕されたというものだ。このケースはAさんが私服警察官らに声を掛けられた半年あとの報道だ。
「新潟県警のケースでは、偽造は30~40件に及ぶと県警側が見ていることが記事に書かれています。つまり、今、私が述べたようなことです。この41歳の警部補は、何かのきっかけで〈虚偽有印公文書作成〉に手を染めたのでしょう。初回は、この警部補だって、どきどきしながら書類をでっち上げたのだと思います。でも、それが2回、3回と重なるうちに、だんだんと理性と言うか、良心の痛みが鈍(にぶ)くなって、最後には、何の罪悪感も無く、むしろそういう手法を使ってでも手早く効率よく“仕事”をこなしていくことが当たり前になっていったのだと思います。私は、いちばんはじめに4人の私服警察官がいきなり自宅を訪れ、そして去っていく後ろ姿を見送りながら『これはやっかいなことになるぞ』と直感したのは、彼らがおそらく新潟県警の場合と同じく、これまでも数多く、似たようなことをやって来たことがわかったからでした。そして、今回のことに私がこだわるのは、もし不正が横行しているとすれば誰かがそれをやめさせなければならないからです」
「私が、この事件にこだわる3つ目の理由があります。神戸新聞の報道によれば、警察官らが被害者に返すべき自転車の何台かを駅前駐輪場に放置していたそうです。私の場合も、ずいぶんとあとになってから警察署は『自転車はもともとの持ち主に還付(かんぷ)した』と言うのですが…、ちょっとそれは考えられません」
そのあと、Aさんは、警察官らが“押収”して行った自転車が、“持ち主”のもとに返されていないと思われる理由を話してくれた。まだAさんは刑事告訴前なので、紙面には書けないが、例えば次のような事例を考えたら、「自転車が正当な持ち主のもとに返された」といった警察署の説明にAさんが疑念を抱くのもわかるはずだ。
例えば、ある自転車の黒いサドルを茶色いサドルにつけ変えておく、ハンドルを替えておく――といったことのされた自転車を、もとの持ち主が見たら、その自転車を見て、必ず次のように的確に以前との違いを言えるはずだ。
「この茶色いサドルは、私のものではありません」
「このハンドルも、私が乗っていた時とは違っています」
明らかに、自分の所有物でないものが自転車についていた場合、それを黙って自分のものであるかのように乗り続ければ、今度は、逆に、その“正当な持ち主”が〈占有離脱物横領〉の罪に問われることになる。
写真1を見てほしい。これは私服警察官らが持ち去ったのとは別の自転車である。もともとAさんは、中学生の子どもに自転車の修理法を教えるために、アパートに置き放しの、すでに持ち主が引っ越したあとの自転車などでパンクの直し方等を教えたという。
(写真1)最近のAさんの愛車。「今度は大丈夫です。ちゃんと派出所に行って車体番号についても調べてもらいましたから」 Aさんは、自転車後輪の交換を手取り足取り子どもに教えるというのだから、中々のよきパパでもある。(撮影・三上英次 以下同じ)
「いま、携帯電話もそうですが、どうかすると自転車も使い捨てですよね。しかし、物は使い捨てにしながら、〈リサイクル〉〈再利用〉〈エコ〉などという言葉が流行しています。もちろん、私だって、打ち捨てられたものが、〈占有離脱物〉か〈無主物〉かぐらいはちゃんと判断できますよ」
写真1の自転車は、よそから譲り受けた廃物同様の自転車をAさんが2人の子どもに直させたものだという。前輪の泥よけだけではなく、もともと27インチの自転車フレームに、後輪だけ26インチのタイヤがつけ替えられている。たしかに、ここまでのことは自転車屋ではやらないだろうから、Aさんが「物を大切に使うこと」を教えるために「はずしにくい後輪のタイヤ交換を中学生の子どもにやらせた」というのは、まんざら嘘ではなさそうだ。
「もし、このような形で、廃物同然の自転車を誰かが直して乗っていたとしたら、“正当な持ち主”とやらは、どう思うでしょう。私だったら『ここまで大切に使い続けてくれてありがとう』と言うかもしれませんし、近所だったらそういう人に会ってみたいと思います。私服警官4名が“押収”していったものも、それ〔→写真1〕と似ていて、本当の持ち主が見れば、ある理由から仰天していたはずなのです。それなのに、“正当な持ち主”から警察署を通じて何の連絡も無いということは、…兵庫県警と似たようなことが起きているのかもしれませんね」
そう言って、そのあとAさんは、もう少し詳細を話してくれた――。
(2) 約3週間後、警察署から回答が届く
2008年3月、私服警官らの突然の来訪があってから約3週間、Aさんからの問い合わせの手紙に対して、警察署長から手紙が届く。それがA4用紙1枚の写真2、3月5日付手紙だ。
(写真2)私服警察官らの来訪から約3週間後にAさん宅に届けられた警察署長名の手紙(3月5日付手紙)。
~~~~~~~~以下、引用始め~~~~~~~~
○ ○ 様
千葉県( 略 )あてのお手紙を拝見しました。
今回の申出について調査した結果、警察官の職務質問等については、街頭犯罪抑止のための正当な職務行為であり、現に捜査中の事案でありますので、あなたへの回答は差し控えさせていただきます。
なお、今後は、真相を解明するためにも事情聴取にご協力いただきたいと思います。
今後のお問い合わせにつきましては、○○警察署(電話番号…省略)地域課長までご連絡ください。
~~~~~~~~以上、引用終わり~~~~~~~~
その3月5日付の手紙に対して、Aさんは新たに警察署長宛て手紙を出す。
~~~~~~~~以下、引用始め~~~~~~~~
○○警察署長 ○ ○ 様
○○警察署地域課長 ○ ○ 様
拝 啓
過日、お返事(3月5日付)を頂きました。
私が今回( 省 略 )にまで出向いて、疑問を申し上げたのは、いくつかの点で、○○警察署警察官の言動は、刑事訴訟法、犯罪捜査規範、警察官職務執行法、地方公務員法、及び警察庁の「犯罪捜査適正化指針」(08年1月)などに抵触していると考えられるからです。
一般社会で、職務に関して法令違反の疑念を持たれた場合、そうではないことを関係者、特に監督責任を負う者は明らかにしなければなりません。今回のケースも、何人かの警察官の言動について、法令に抵触するのではないかとの質問があったわけですから、責任ある立場の方が、きちんと説明責任を果たされるのが「すじ」であり、「捜査中の事案」かどうかは、全く理由にはならないのではないでしょうか(回答したからと言って、捜査に支障が出ることはありませんし、むしろ、回答しないことで、それ以降の適正な捜査は一切期待できなくなるように思います)。
特に、今回書面を拝見し、私が重く受け止めたことがあります。つまり、あの3月5日付書面は、読み方によっては、組織として、一部警察官の法令・指針に違背する行為を容認することになるということです(その意味で、あの書面は、たった1枚ですが、非常に重大だと私は考えています)。
今回の例に限らず、現場の警察官が何かのはずみで〈勇み足〉をしてしまうことはよくあることでしょう。人間誰しも誤りはあります。但し、それについて指摘があった場合に、上の者が適切に責任をもって対応できることが必要ではないでしょうか。一警察官が、現場で〈勇み足〉の言動をとることと、( 省 略 )から回ってきた事案について、3週間の調査期間を経て○○警察署が組織として回答する場合とでは、意味がまるで違います。
今回の返答について、後述のように私はとりあえず留保しますが、○○警察署長名で為された今回の回答について、再考の余地は十分にあると考えています。
2点確認しておきます。
私が、今回のことについて、わざわざ( 省 略 )宛てに書面を提出してまで現状を正して頂きたいと考えるのは、今回の警察官(4名)はおそらくこれまでにも同じようなことを繰り返して来たと推測されるからです。そしてまた、○○警察が組織として、あのような言動を容認すれば、これからも、ああいった法令や指針を無視した“取り調べ”が続けられていくに違いないからです。私自身に関しては、引き続きN、S両巡査部長、あるいは、それに加勢する警察官が今後何人来ようと、適切に応対することができます。けれども、法律にあまり詳しくない一般の市民が、あのような巧妙かつ高圧的、威嚇的な態度で“取り調べ”が演出される中で犯罪を認める書類に署名を求められた場合、はたして、その市民の人権が適正に守られるのか甚だ疑問です。
今回は、たまたま占有離脱物横領という“微罪”の嫌疑で、あのような手法が露見しました。しかし、今回私にかかわった警察官は、“微罪”だから法令に定められた手順を無視する…ということではなく、これからも、効率・スピード重視で“犯人”と目星をつけた人間に署名・捺印をさせていくのではないかと私は危惧しています。だからこそ、あのような一連の行為は、誰かが正さなくてはいけないし、「適正ではなかった」との認識を関係者間で共有することが必要なはずです。
もう一点、私は自分にかけられた嫌疑について、現場警察官の不適正な職務執行と“相殺”するつもりは全くありません。私は、いろいろな経緯について、きちんと説明できます(むしろ、私は話したくてうずうずしています)。私としては、いろいろなことについて話がしたいのに、それを「ありえない、ありえない」と聞く耳を持たず、犯罪を認める書面に(上半分を手で隠して)強引に署名させるような態度に出られては、話のしようがありません。(ひとつ「秘密の暴露」をします。次のことは( 省 略 )宛てには知らせていないことです。私は、2月10日に両巡査部長に呼ばれて○○署を訪れた際、私は2通の書面を持参していました。1通は、これまでの経緯等を記したもの、もう1通は○○署長宛て書簡です。私は、○○警察署内で事態が適切に解決されるのであれば、とりたてて事を大きくするつもりは当初からありませんでした。10日について言えば、私の持参した2通を、N、S両警察官が受け取りを拒否し、その際に威嚇的な言動もあり○○署内では適正な扱いは期待できないと感じて、2月12日に2度目の( 省 略 )訪問となった次第です。
総じて「ボタンのかけ違い」に類することは、とにかく気がついたら早めにかけ違いを直すこと、これに勝る方法はありません。世間でも、小さなかけ違いをそのまま強引に押し通したり、糊塗したりした結果、組織の責任者がカメラの放列の前で苦渋の表情を浮かべる場面を目にします。どうしてもっと早く誠実に事に当たらなかったのか、私は不思議に思うことが少なくありません。
今後ですが、一度責任ある立場の方と私とが直接会い、忌憚なく意見交換をしたほうがよいかと思います。顔を合わせずに書面のやり取りだけですと、どうしても表現も固くなります。今回の件は、(正すべき点については正さなくてはいけませんが)、大のおとなが頑なに対立し続けるような事例ではないようにも感じます。
私は以前にも○○署長の時に、現場警察官の好ましくない行状について、地域官の方にご尽力頂いた経験があります。ですから、現時点では、今回のことについても、あまり悲観していません。「3月5日付書簡」については、いったん読まなかったことにして、ご連絡をお待ちしたいと思います。もちろん、本状に対して、返答をしない、前回の返答を繰り返すことも、選択肢として可能です。但し、前述の通り、私は今後の○○市の市民生活を憂慮して、今回の件を正そうと思っているので、うやむやにすることは絶対にありません。その点のみ、銘記頂ければ幸いです。
以上 長々と書き連ねましたが、よろしくご判読下さい。
敬 具
2008年3月14日
~~~~~~~~以上、引用終わり~~~~~~~~
尚、Aさんは手紙の中で「N、S、両巡査部長」と書いているが、正確には「N巡査部長とS巡査長」である。
書簡の中の「今後ですが、一度責任ある立場の方と私とが直接会い、忌憚(きたん)なく意見交換をしたほうがよいかと思います」との提案を受けて、Aさん宅に地域課長から電話があり、3月23日に、Aさんと地域課長とが直接会って話をすることになった。
(3) 警察署地域課長との面会(08年3月23日)
2008年3月23日、Aさんは地域課長と会うために地元警察署を訪ねた。警察署に着くと、地域課長とともに、地域課長代理の警察官も出て来た。よくある「複数での対応」というものらしかった。Aさんは、警察署内の、パーテーションで区切られた階段踊り場のような場所ではなく、今度はきちんとした室内で、ふたりと話し合った。
「私は、3月23日当日までに、いろいろと情報を仕入れていましたし、準備万端でした。何よりも、こちらの「隠し玉」は〈虚偽公文書作成罪〉でした。私は、それまで何回も地域課長らと電話でも話していましたが、〈虚偽公文書作成罪〉という言葉は、手紙でも電話でも、ひとことも発しませんでした。もし言えば、警察は組織防衛に必死になると考えたからです。当日も、話をすること以上に、私からの書面を地域課長に手渡すことが目的でした。どうせ密室で話をするとなれば、あとで『言った/言わない』の水かけ論になることはわかっていたからです」
室内で、しばらく話をしたあと、Aさんは初めてN巡査部長、S巡査長らのやっていることは刑法156条の〈虚偽公文書作成罪〉に当たるのではないか――ということを口にした。すると、Aさんと話をしていた、地域課長の顔から、さっと血の気が引いたという。
「いやぁ、それはこっちが焦(あせ)りましたよ。だって、『おまえ、そんなことまで調べたのか』と、態度を豹変させて、どこかからピストルでも持って来られやしないかと……、それは冗談ですが、顔から血の気が引き、唇が小刻みにふるえて来るのがわかりました。同時に、『やった!』と思いました。それまでの疑問が、一気に確信に変わった瞬間でもありました」
あなたの部下のやっていることは〈虚偽公文書作成罪〉ではないか。他府県ならば、とうにそういう警察官は逮捕されているはずだ――Aさんはこう言い放ち、地域課長と横の課長代理を見すえた。すると、地域課長は、うわずった声で「…そんなこと、あるわけないじゃありませんか、そんなこと〔注・部下の犯罪を見逃すようなこと〕をやっていたら、私がコレですよぉ」。そう言って、地域課長は、両手を差し出し、手錠をはめられる仕種(しぐさ)をしたという。
その後、確信を得たAさんは、用意してきた書簡を地域課長に手渡し、早々に警察署から退出した。以下に、その書簡全文を掲げる。
(4) 警察署長宛ての手紙(08年3月23日付)
○○警察署長 ○ ○ 様
○○警察署地域課長 ○ ○ 様
前 略
今回のN、S両警察官他計4名の行為は、富山での冤罪事件(氷見事件)に似た性質を持っているのではないかと私は考えています。
つきましては、次の3つの書面について、後日原紙を確認させて頂きたいと思います。
〔1〕2月7日、S巡査部長が道路ぎわにかがんでその場で書き上げて私に署名・捺印させた書面
〔2〕2月7日、N巡査部長が、あらかじめ文面を署内で書き上げて持参し、私に署名・捺印させた書面
〔3〕2月10日、上半分をN巡査部長が手で隠し、はじめに家内に署名・捺印させた書面(私は内容について十分な説明がなく、両巡査部長が警察庁の「捜査適正化指針」をご存知なく、発言も適正さを欠くものであったので、署名を拒否した用紙です)
特に、今回私が関心を持っているのは〔1〕の書面と〔3〕の書面の内容の齟齬です。〔1〕の書面では、S巡査部長は「後日○○署に出向いて事情をお話します」という趣旨のことを書いて、私に署名・捺印を求めました。しかしながら、10日に○○署に伺った際に、N巡査部長が手で隠して私に署名させようとした書面は「私は、占有離脱物横領の罪をおかしました。そのことについて深く反省し、今後は2度とそのようなことは致しません」といった趣旨の、犯罪を認め反省する内容ではなかったでしょうか。「○○署に出向いて話をします」という書面に署名させて警察署に呼び、実際には「犯罪をおかしました」という用紙を準備しておくという方法には、肝心の「本人の説明をよく聞く」という部分が抜け落ちているように思います。これが果たして適正な捜査と言えるでしょうか。特に、非常に早い段階でN巡査部長は〔2〕の書類を作っています。これら一連の手法について、その適否を、○○署として認めるのかどうか、私はきちんとした説明をお聞きしたいと思います。
以上、○○警察署長○○様、○○警察署地域課長○○様のほうで、責任を持って、上記書面をご準備して頂きたくお願い致します。
草 々
2008年3月23日
2年前に、Aさんが地域課長に手渡した手紙に対して、今も回答は無いという。次回(最終回)、真相究明を求めてN巡査部長に迫るAさんに、警察署のとった奇策とは?
Aさんが見せてくれた、ご自慢の両手鍋(?)。「まず最初に一方の持ち手が取れ、別の時に、もう一方も取れました。だから別々に日曜大工店で代替品を買って付けたので、いびつになってしまいました。でも、物を大事にするというのは大切なことだと思います」
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