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韓国艦爆発沈没:不明者捜索続く 急な沈没、残る謎

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR 国際>

 【ソウル大澤文護】朝鮮半島西方の黄海で発生した、韓国海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」(1220トン、乗員104人)の爆発・沈没事故で28日、韓国軍は本格的な行方不明者捜索と原因究明に乗り出したが、なぜ軍艦が急に沈没し、多数の行方不明が出たのか、なぞは深まっている。北朝鮮の関与も不明のままで、南北関係に悪影響を及ぼさないよう関係者は神経をとがらせている。

 ◇20分で60%浸水 内部遮断、機能せず

 ●船体真っ二つ

 27日、救助された天安艦長は行方不明者の家族に、「(爆発後)瞬間的に船体が破壊され、船体の半分が失われた状態だった」と語り、爆発で船体が二つに割れたことを明らかにした。軍当局者は「爆発後20分で艦艇の60%が浸水した。艦尾は重い機関室があるため、艦首とは別に、間もなく爆発地点に沈んだと推定される」との見解を示した。別の海軍関係者は「哨戒艦は、内部を約100個の区域に分け事故が起きれば、その部分を遮断する構造になっている。しかし、今回はその機能が一気に失われた」と急速沈没の理由を説明し、理解を求めた。

 ●30人余の寝室

 韓国メディアの報道によると、46人の行方不明者の大部分は、下士官以下の一般乗組員だった。急速に沈没したとみられる艦尾には、機関部に所属する三十数人の寝室があった。

 28日、国防省は「艦橋や甲板にいた乗組員の多くは爆発後、救助する余裕があった。しかし艦尾乗組員は脱出する余裕もなかったと思われる」と述べた。

 軍当局は28日、海軍の海難救助隊所属の潜水隊員を現場に派遣し、沈没した船体の発見と生存者捜索を試みた。しかし「海流が極めて速く、海底の泥を巻き上げ視界はほとんどゼロ。特殊訓練を受けた隊員でさえ、命を失いかねない状況」(軍関係者)だったため艦首部分の位置確認をするだけにとどまった。

 李明博(イミョンバク)大統領は28日、安保関係閣僚会議を開催。「正確な原因が究明されねばならない」と強調した。

 ●北朝鮮は沈黙

 事故発生後、韓国政府が細心の注意を払っているのは、南北関係と政局への影響だ。

 外交通商省と統一省は27日以来「非常勤務態勢」を取り続けている。外交通商省では北朝鮮問題を担当する朝鮮半島平和交渉本部を中心に関係諸国と情報交換を続けている。

 しかし、北朝鮮は沈黙を続け、米国も「現時点では北朝鮮に特異な動きはない」と発表したため、静観しているのが実情だ。統一省関係者も「国防省が事故原因を公式発表した後に我々も対応できるだろう」と述べるにとどまり、具体的な対策は取れない状況だ。

 一方、6月に政権の中間評価となる統一地方選を控えている。聯合ニュースによると、与党ハンナラ党関係者は、原因究明が長期化し、行方不明者家族らの不満が高まれば「地方選の悪い材料になりうる」と憂慮する。

毎日新聞 2010年3月29日 東京朝刊

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