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【国際】

「農薬、工場で3回混入」 ギョーザ事件

2010年3月29日 朝刊

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 【北京=安藤淳】中国製ギョーザ中毒事件で、拘束された製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)の元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)が2007年10月1日と同月下旬、12月下旬の計3回にわたり、ギョーザ製品に有機リン系農薬「メタミドホス」を注入したと供述していることが分かった。中国公安省が28日の記者会見で明らかにした。

 呂容疑者がメタミドホスを混入したとする時期は、千葉、兵庫両県で中毒事件を起こしたギョーザ製品の製造時期とほぼ一致。08年6月に河北省承徳市で起きた中毒事件も、呂容疑者の犯行とみられる。同省は共犯者はなく、単独犯との見方を示した。

 同省幹部によると、呂容疑者は07年7月と8月、工場の清掃班が樹木用農薬として保管していたメタミドホスを盗み、医療施設で入手した針が付いたままの注射器数本を使い、冷凍保存庫で3回にわたり注入したと供述。呂容疑者は「日本の消費者に迷惑をかけるとは思わなかった。後悔している」と話しているという。

 動機については「1993年から臨時従業員だったが、正社員との給与格差が極めて大きく、05年に(同社に勤めていた)妻の出産休暇の際、ボーナスが支給されなかったことで不満が増し、会社への報復を考えた」と説明しているという。

 警察当局は、呂容疑者は妻や親せきに「自分がやった」と認めたとの情報をつかみ、重要参考人として3月16日に聴取を開始。21日に本人の供述通り、下水道から注射器を発見した。

 今回の事件で、中国公安省が会見を開くのは約2年ぶり。捜査の不透明さや長期化に対する日本国民の対中感情に配慮する狙いとみられる。

 

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