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大阪市:「貧困ビジネス」施設宿泊者、生活保護支給せず 被害防止へ

 大阪市は26日、同市平野区にある社団法人が運営する同市浪速区日本橋の宿泊施設を新たな住居地にした場合、生活保護費を支給しないことを明らかにした。プライバシーが保てないなど住環境が不適切で、利用者の生活支援という趣旨に合わない施設と判断した、という。入居中の34人への支給は続けるが、転居を指導する。

 市によると、施設は、生活困窮者に居室を提供する「無料低額宿泊所」としての申請が書類の不備で受理されないまま、今年2月に営業を始めた。8階建てビルを改装。約7・5平方メートルの居室が48室あるが、間仕切りが低くてプライバシーが確保されず、トイレも各階にないなど不適切な生活環境としている。

 家賃は、単身者の生活保護での住宅扶助上限の月4万2000円で、さらに光熱水費精算の預かり金として月1万円を徴収して実費で精算。4月から施設内で夕食を月2万5500円で提供予定だった。

 市は今月25日、「大阪市とともに生活困窮者を応援しています」などと事実と異なる掲示をしていたことから施設を立ち入り調査。運営責任者(33)は「野宿者に生活保護を申請させ、住まわせた」と説明したという。

 責任者は26日、毎日新聞の取材に「貧困ビジネスの被害から救済しようと市とも協議して事業を始めた。『保護の居宅先としては認めない』と突然口頭で言われて困惑している」と話した。

 大阪市は生活保護費が10年度予算で2863億円に達し、居住場所を用意して割高な費用を保護費から天引きする「囲い屋」による貧困ビジネス対策に乗り出している。市の担当者はこの施設について「家賃は決して安くない。営業自体は違法でなくても、不適切な施設」としている。

 一方、保護費支給を決めていたのは現場との連携不足で「反省点があった」とした。【石川隆宣、北川仁士】

毎日新聞 2010年3月27日 大阪朝刊

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