第1754回 国産初のジェット旅客機、国交省が人員倍増し安全審査 [航空関係]
国産初のジェット旅客機、国交省が人員倍増し安全審査
三菱重工業が開発を進める国産初のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット」(MRJ)を巡り、国土交通省は来年度、同機の安全審査にあたる専従チームの人員を一挙に倍増し、40人態勢で臨むことを決めた。
航空機の審査担当職員の3分の1以上を投入する異例の態勢で同機の安全性に目を光らせる。2013年に予定される就航を前に、「安全」をアピールし、海外への売り込みを後押しする狙いもあるようだ。
三菱重工業系の三菱航空機がMRJの量産に必要な型式証明を得るため、国交省に安全審査を申請したのは昨年10月。国交省の審査チーム(17人) は現在、愛知県の県営名古屋空港わきにある同省航空機技術審査センターで三菱側の技術者チームと毎日のように顔を突き合わせ、基本設計の段階からチェック を続けている。
旅客機の安全審査は、旧運輸省時代を含め、46年前に初飛行した戦後初の国産プロペラ機「YS―11」以来。しかもMRJは、軽量素材の炭素繊維や低燃費エンジンなど世界的最新技術が駆使されたハイテク機だ。
審査チームは主翼、胴体、油圧系統など各部位について審査項目の検討から始め、安全審査に多数の実績がある米連邦航空局から講師を招いたり、審査官を米国に研修に派遣したりして試行錯誤を続けてきた。
審査は厳格で、MRJの目玉の一つとされる炭素繊維を使った主翼構造の素材について、審査官から三菱側の技術者に「どう考えても資料が足りない」 と怒号が飛ぶことも。審査チームをまとめる平井一彦・同センター所長は「炭素繊維の1本でも品質が確保されていなければならない。気の遠くなるような話」 と打ち明ける。
審査チームは2013年に予定されるMRJの就航を見据え、今後、より詳細な設計や試作機の飛行試験などの審査を本格化させる。審査に万全を期す ため、来年度は審査チームに23人を追加投入。航空機の審査を担当する職員の総勢113人のうち、40人が同センターに集結することになる。
MRJは、開発費の一部を政府が支援する国家プロジェクトだ。航空業界は燃料価格の高騰や運賃の低下により運航コストを下げる必要性に迫られてい る。三菱重工業では、MRJが狙う60~99席程度の小型ジェット機市場での今後20年需要を、5000機以上と予測している。
だが、販売予定価格が30億~40億円とされるMRJの現在の受注は、採算ラインの300機を大きく下回り、全日空の25機だけだ。米国や欧州など海外からの注文は不可欠で、受注を増やすには海外にアピールできる安全審査のレベルもポイントになる。
審査を統括する国交省航空局の幹部は「歴史的なプロジェクトに携われるのは名誉なこと。安全確保のため、製造国としての責任をしっかり果たしたい」と力を込めた。
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