ご無沙汰しています。ここ数日、本業や雑務が忙しかったこともありますが、実のところ、あまりに政治情勢がバカバカしくて、何かここで取り上げる気力も湧かないという状態にありました。郵政国営化と閣内不統一の問題も、将来に何の展望もなく不安だけが残る予算成立も、米軍普天間飛行場移設をめぐる迷走も、民主党内のゴタゴタも北教組の件も、中井国家公安委員長のスキャンダルも、どれも怒りを通り越してただただ…。
そんなこんなで、本日もエントリを上げるのはどうしようかなと思っていたのですが、この3日間ほど「何だったかな?」と妙に気になっていたことが、「ああそうだった」と分かったので、ちょっとそれについて書いてみます。23日の参院予算委員会でのことですが、普天間問題に関する自民党の山本一太氏の質問に、鳩山首相は以下のように応えていました。
《鳩山首相 まだ二ヶ月以上ある。決してそれは長い期間ではないことも十分理解している。しかし、どんなに針の穴に糸を通す、あるいは大きな縄を通すくらいの難しい作業だったとしても、やはりやり通さなければならないと思っている。山本委員にむしろおうかがいしたいのは、何で全部、米国側が合意しないといったが、交渉もしないうちに米国側がこれで合意しないなどと。(※山本氏がヤジで「条件を満たしていない!」)満たしていないと勝手に思いこまれるのも、私はいかがなものかと思う。これからの真剣勝負でありますから、私どもとしては選択肢を定めた時は、当然、生きるか死ぬかの大きな論争、激論の中で、最終的に国民の皆さんにも、沖縄の皆さんにも、米国の皆さんにも理解していただけるものに仕立て上げていきたいという決意だけ申し上げておきたい。》
別に珍しい表現でもありませんが、鳩山首相が「針の穴に縄を通すくらい難しい」と言った点がなぜか引っかかったのです。何か含意がありそうで。それで今朝、気になっていた点にようやく思い至った次第です。イエスの言葉でした。
『はっきり言っておく。金持ちが天の国に入るのは難しい。重ねて言うが、金持ちが神の国に入るより駱駝が針の穴を通るほうがまだ易しい』(マタイ伝19)
この「駱駝」というのは表記は誤用で、本当は「もやい綱」だという説もあるそうですが、まあどちらでも同じ意味ですね(駱駝の方がイメージとしては楽しいけれど)。つまり、私は鳩山首相の答弁を聞きながら、心のどこかで「あなたがその比喩を使うか」と突っ込みを入れていたのでしょう。ただ、記憶力が弱く頭の回転も鈍い私には、明確にどうしてそう思うのかとっさに思い出せなかったと。
鳩山首相は1月29日の施政方針演説でも、ガンジーが「7つの社会的大罪」とした「労働なき富」を「日本と世界が抱える諸問題」と訴えて「それはあなたのことだろう」と失笑を買いましたね。あのとき、共産党の志位和夫委員長はこう皮肉っていました。
「引用は時と場合によっては非常に効果的で、その人の知性や理性の深さを示すものになるが、(首相の演説は)合わない引用をすると自らに降りかかってくるという典型だった」
まあ、誰しもそう感じる場面でしたね。それにしても鳩山首相の言動には、日々、「それはギャグなのか」「ウケ狙いなのか」と悩まされます。おそらく自覚は何もないのでしょうが。ああ、今日は首相記者会見もあるしまた忙しいのですが、いまひとつやる気が湧きません。今回は一体何を言い出すのかなあ。何だかなあ。
by 裏の桜
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