初めて書いた記事は稚アユを放流するイベント。05年4月、着任した翌日に江戸川での取材でした。デスクから船橋支局に電話があり「おい、稚アユいるか?」と原稿の問い合わせ。なるほど、記者として新生活が始まる自分は稚アユのようなものだなあ、と感じたのを覚えています。
この5年、船橋支局と千葉支局で行政、選挙、事件を取材する機会に恵まれました。救急医療現場の医師には安楽死問題を通じ命を考えさせられ、自らの病と向き合い、それでも前を向いて生きる女性からは勇気をもらいました。選挙の取材では人の熱を感じ、事件取材では解決を目指す警察官たちの真摯(しんし)な姿を知りました。
人っていいもんだなあ、と改めて感じた5年間。稚アユから少しくらいは成長できたのかなと振り返っています。4月1日付で東京社会部に異動します。ありがとうございました。【神足俊輔】
毎日新聞 2010年3月28日 地方版