「国際著作権機構」って何だ?
2010年03月23日07時20分 / 提供:PJニュース
【PJニュース 2010年3月23日】3月21日、ファイル共有ソフトに関するニュースが流れた。一つは『Winny』からダウンロードした市販ゲームソフトを起動したらパソコンがウイルスに感染し、パソコンの情報がネット上に流出した件。もう一つは長崎市の中学校の校長と思われる人物が所有するパソコン情報がインターネット上に流出した件である。調べていくと、国際著作権機構なる団体のサイトにたどり着いたが、その実態は・・・。
美少女ゲームのレビューなどで人気があったサイトの管理人が、ファイル共有ソフト『Winny』からダウンロードした市販ゲームソフト『Cross Days』を起動したことで、管理人のパソコンがウイルスに感染した。流出したスクリーンショットには、会員制サイトに管理人のアカウントでログインした状態のブラウザが写っていた。会員からの信用を失ったとして、現在、このサイトは無期限停止状態である。
さらに、痛いのは、長崎市内の中学校の男性校長らしき人物が所有するパソコンの情報が流れた件である。この男性は、ネット上に違法にアップロードされた『ノートン360バージョン4.0』をダウンロードしてインストールした。しかしこのソフトは偽物で、パソコン内の情報を流出させるプログラムが仕組まれていた。パソコン内に保存されていたデータそのものではなく、データの内容が一覧形式であるサイトの表示されていた。
そこには、家族のデータや学校関係の資料だけではなく、ロリコン画像とおぼしきタイトルのデータまで表示されていたことから、「2ちゃんねる」などのネット掲示板で取り上げられ、いくつものスレが立つほどの炎上となっている。
どちらの件も、『Winny』を使って違法にダウンロードしたことが大きな問題で、しかも教育者である学校関係者がかかわっていたとは、ただ驚くばかりである。
さらに調べていくと、あるサイトにたどり着いた。
それは、「ICO国際著作権機構」である。
サイトには、「国際著作権機構(International Copyright Organization)は、は、デジタル著作物の権利保護を通じて、文化の発展に寄与する団体です。(原文ママ)」と書かれているが、この団体の代表者、所在地、連絡先は書かれていない。これだけでも十分怪しいのだが、なんとこのサイトのトップページは、ネット掲示板にリンクされている。
さらに、このサイトの左側の検索窓を使うと、このサイトが収集したと思われる個人のパソコン情報が表示される。そこには、前述の美少女ゲームレビューサイトの管理人や中学校校長らしき人物の情報も。検索すれば誰でも閲覧可能な状態になっている。
パソコン内に保存されているすべてのデータ名が一覧表の形式で表示されるが、ここまで晒す必要があるのだろうか。
ネットなどで非合法に配布・販売されている商用ソフトウェアのことや非合法な方法でソフトウェアなどをやりとりする行為を「Warez(ウェアーズ)」と呼ぶ。日本ではWarezを行う者を「ワレザー(Warezer)」と呼んでいたが、Winnyなどのファイル共有ソフトでの配布が主流となったことから、これらの行為をする者を広く「ワレザー」と呼んでいる。2ちゃんねるなどの掲示板では、「ワレザー」に漢字をあて、「割れ厨」と呼ぶ。
今年1月1日、著作権法の一部が改正されて施行された。著作権法第30条第1項第3号が追加された。それによると、「著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であって、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合(原文ママ)」と書かれている。
具体的には、ネット上で業者や個人によって違法配信されている音楽や映像を、ユーザーが違法と知りつつダウンロードする行為を禁止するというものである。違法にダウンロードした者に対する罰則は設けられていないが、海賊版の DVD などを違法複製物であると知りながらネットオークションに出品する行為が禁止され、違反した場合の罰則 (5 年以下の懲役もくしは 500 万円以下の罰金または併科) が設けられた。
ただ、著作物利用を円滑に行う措置として、「ストリーミング配信におけるキャッシュ」「検索エンジンが行うコンテンツの複製」など、必要と認められる限度においては、権利者の許諾を必要としないことを明文化した。また、「国会図書館における所蔵資料の電子化」「ネット販売に伴う美術品などの画像掲載」「情報解析研究のための複製」「障害者向けの録音図書や映像に対する字幕・手話の付加」などについても、権利者の許諾なしに行える規定を設けている。
違法ダウンロード者、いわゆる「割れ厨」の行為を戒めるために、「ICO国際著作権機構」なる団体が立ち上がり、現状を変えていこうとしているのであればその活動に理解を示すところだが、前述したようにとても胡散臭い。
このサイトの利用規約によると、「国際著作権機構利用条件契約書」なるものが発行したのは、2010年3月16日というから、つい最近である。また、個人情報の保護については、「当サイトは当該本人に利用目的を明示した上で当該本人の同意のもと、当該本人から投稿された情報のみを掲載しています」と書かれているが、これが本当であれば、ほとんどの人は情報の掲載には同意しないだろう。
これだけでも「ICO国際著作権機構」は怪しい団体であることは間違いないが、それ以上に、違法と知りながら市販ソフトなどをダウンロードする行為は、今すぐにやめたほうが良いだろう。このような変な団体の餌食になってしまうだけである。【了】
■関連情報
【関連サイト】
○著作権侵害のインターネット配信に注意!音楽や映像の「著作権」を守りましょう(政府広報オンライン)
○違法?合法?ダウンロードにご注意!〜著作権法改正(政府インターネットテレビ)
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美少女ゲームのレビューなどで人気があったサイトの管理人が、ファイル共有ソフト『Winny』からダウンロードした市販ゲームソフト『Cross Days』を起動したことで、管理人のパソコンがウイルスに感染した。流出したスクリーンショットには、会員制サイトに管理人のアカウントでログインした状態のブラウザが写っていた。会員からの信用を失ったとして、現在、このサイトは無期限停止状態である。
さらに、痛いのは、長崎市内の中学校の男性校長らしき人物が所有するパソコンの情報が流れた件である。この男性は、ネット上に違法にアップロードされた『ノートン360バージョン4.0』をダウンロードしてインストールした。しかしこのソフトは偽物で、パソコン内の情報を流出させるプログラムが仕組まれていた。パソコン内に保存されていたデータそのものではなく、データの内容が一覧形式であるサイトの表示されていた。
そこには、家族のデータや学校関係の資料だけではなく、ロリコン画像とおぼしきタイトルのデータまで表示されていたことから、「2ちゃんねる」などのネット掲示板で取り上げられ、いくつものスレが立つほどの炎上となっている。
どちらの件も、『Winny』を使って違法にダウンロードしたことが大きな問題で、しかも教育者である学校関係者がかかわっていたとは、ただ驚くばかりである。
さらに調べていくと、あるサイトにたどり着いた。
それは、「ICO国際著作権機構」である。
サイトには、「国際著作権機構(International Copyright Organization)は、は、デジタル著作物の権利保護を通じて、文化の発展に寄与する団体です。(原文ママ)」と書かれているが、この団体の代表者、所在地、連絡先は書かれていない。これだけでも十分怪しいのだが、なんとこのサイトのトップページは、ネット掲示板にリンクされている。
さらに、このサイトの左側の検索窓を使うと、このサイトが収集したと思われる個人のパソコン情報が表示される。そこには、前述の美少女ゲームレビューサイトの管理人や中学校校長らしき人物の情報も。検索すれば誰でも閲覧可能な状態になっている。
パソコン内に保存されているすべてのデータ名が一覧表の形式で表示されるが、ここまで晒す必要があるのだろうか。
ネットなどで非合法に配布・販売されている商用ソフトウェアのことや非合法な方法でソフトウェアなどをやりとりする行為を「Warez(ウェアーズ)」と呼ぶ。日本ではWarezを行う者を「ワレザー(Warezer)」と呼んでいたが、Winnyなどのファイル共有ソフトでの配布が主流となったことから、これらの行為をする者を広く「ワレザー」と呼んでいる。2ちゃんねるなどの掲示板では、「ワレザー」に漢字をあて、「割れ厨」と呼ぶ。
今年1月1日、著作権法の一部が改正されて施行された。著作権法第30条第1項第3号が追加された。それによると、「著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であって、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合(原文ママ)」と書かれている。
具体的には、ネット上で業者や個人によって違法配信されている音楽や映像を、ユーザーが違法と知りつつダウンロードする行為を禁止するというものである。違法にダウンロードした者に対する罰則は設けられていないが、海賊版の DVD などを違法複製物であると知りながらネットオークションに出品する行為が禁止され、違反した場合の罰則 (5 年以下の懲役もくしは 500 万円以下の罰金または併科) が設けられた。
ただ、著作物利用を円滑に行う措置として、「ストリーミング配信におけるキャッシュ」「検索エンジンが行うコンテンツの複製」など、必要と認められる限度においては、権利者の許諾を必要としないことを明文化した。また、「国会図書館における所蔵資料の電子化」「ネット販売に伴う美術品などの画像掲載」「情報解析研究のための複製」「障害者向けの録音図書や映像に対する字幕・手話の付加」などについても、権利者の許諾なしに行える規定を設けている。
違法ダウンロード者、いわゆる「割れ厨」の行為を戒めるために、「ICO国際著作権機構」なる団体が立ち上がり、現状を変えていこうとしているのであればその活動に理解を示すところだが、前述したようにとても胡散臭い。
このサイトの利用規約によると、「国際著作権機構利用条件契約書」なるものが発行したのは、2010年3月16日というから、つい最近である。また、個人情報の保護については、「当サイトは当該本人に利用目的を明示した上で当該本人の同意のもと、当該本人から投稿された情報のみを掲載しています」と書かれているが、これが本当であれば、ほとんどの人は情報の掲載には同意しないだろう。
これだけでも「ICO国際著作権機構」は怪しい団体であることは間違いないが、それ以上に、違法と知りながら市販ソフトなどをダウンロードする行為は、今すぐにやめたほうが良いだろう。このような変な団体の餌食になってしまうだけである。【了】
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○著作権侵害のインターネット配信に注意!音楽や映像の「著作権」を守りましょう(政府広報オンライン)
○違法?合法?ダウンロードにご注意!〜著作権法改正(政府インターネットテレビ)
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パブリック・ジャーナリスト 大谷 憲史
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