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暮らしのココロ

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「湘南で行われる、海岸の砂防林をケアするための、ボランティアやりませんか」と、「地球のココロ」編集部にお誘い頂いたのは、年頭だっただろうか。
「湘南? 何か気持ち良さそうですねえ。やりますやりますー」と気軽に引き受けてしまったのだが。

正直に言おう。ボランティアといっても、何をやるのか、よく分かっていなかった。
現場に着くまで、どういう場所なのかも、把握していなかった。
茅ヶ崎の駅から、バスで海岸に出る。集合場所は、海沿いの公共キャンプ場だ。
「上下レインコート、帽子を用意してください、靴は動きやすい運動靴。あと水筒を」「昼食をとる時、コンビニ等が近くにないので、お弁当を持ってきてください」と、先に注意事項を頂いていた。
確かにシーズンオフのキャンプ場付近は、何もなかった。といっても山中ではないので、森の怖さはない。トイレもきれいだ。後で聞いたら「この場所のボランティアは、初心者に人気」なのだそうだ、なるほど。
参加者は、リーダー格の皆さんは年配で、初心者は、大学生くらいの若い方が多かった。

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班分けして、担当を決める。担当した区域の「下草刈り」をやるのだ。
これは、砂防林として機能している、松と常緑広葉樹を守るための作業。
砂防林とは、潮風や飛砂の害を、防ぐ役目をしてる林のこと。湘南では、これが全長11.4kmもある。それをケアしなければならないのだから、大変だ。
作業の具体的な内容は、松の根本に生えている、笹やら小さな木やら、手でなんか抜けないもを、カマで刈るというもの。
カマ…。昔、埼玉の実家で、草刈りに使ったことはあったが、久々に手に持った。

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保護カバーに包まれてはいるけれども、刃物を持つと、とても緊張する。

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これがリアル森ガールルック!(緑のスカーフはボランティア参加の証)。しかし、こんなにでかい刃物を持つのは、人生で初めて。「ラクロスか!?」っていうくらいのでかさ。

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運動靴がないので、仕方なく、パンプス風の運動靴を履いて行ったのだが、周囲を見渡し「失敗したー」と思った。皆さんは、普通にアウトドアー仕様の装備だ。当たり前か…。 (服は、980円の上下雨ガッパを買ったのだが、動きにくかった。機能的にはアノラックとシャカシャカパンツで代用出来ると思う。今後もアウトドアーを本気でやろう! と いう方は、値がはっても、高機能なものを買ったほうがいいかも)。

参加者で並んで、ぞろぞろと、目的の砂防林に向かう。

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昼間でも少し暗くて、足元が悪い。

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見上げると、こんな感じ。

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ええと、で、これを、何をどこまで、刈っっちゃっていいんだろう!?
と、頭が真っ白になったが、班長さんが「これは切ってください、これは切らなくていいです」「切れないものは、私が別の刃物で切りますから、ほっておいちゃってください」「刃物は横に振り回さないこと、手前に引くように。あと足先を怪我しないように注意して」「ボランティアなんで、体調をみながら、無理しないでください」「水分はとってね(だから水筒が必要だったのか!)」など、こまかく指導してくださったので、安心した。
とりあえず刈るぞー!
……もくもく、もくもく。刈った刈った。

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とにかく手前に引いて切る。写真右は、ひとやすみする時の方法。うっかりカマの刃を踏まないように、地面に刺すのがいいそうだ。

これが、ハマる!
たぶん、脳内が「ぷよぷよ」とか「テトリス」とかやってる時の状態と、似ていたかもしれない。
寒い日だったのに、汗ばんでしまって、ハンカチで顔を拭きながら作業した。当然ノドもかわく。ポッケに入れておいたお茶をごくごく飲む。
今度こそ上手く切りたい、今度こそでかいのを切りたい。どういう角度で、どういう力の入れ方をすると、スパッと切れるのか?
そんなことを考えながら作業していたら、七夕100回くらい出来る位の笹を処理していた。予定の1時間は、あっという間に過ぎていた。お昼休憩だ。

ゴハンを食べながら、同行して貰っていた編集部・清水さんに、
「なんか、ゲームっぽい感じしませんか?」と話したら、
「実は私も、途中でムキになっちゃいました…」とつぶやいていた。
「なんか無になりますよね」「なりますねえ…」と。自分だけじゃなくて良かった。

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食事休憩後、砂防林についてと、生えている木の名前などのレクチャーも。

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休憩中のカマ。道具として使った後だと、並んでいるところを見ても、全然怖くなくなった。人間の慣れってすごい。

さあ、食事が済んだら午後の部だ。
「ボランティアなんだから、無理しなくていいんですよ」と言われても、割り当てられた地域はこなしたい。刈る、刈る、刈りまくる。
視界が明るくなり、作業が終わった時は、達成感でいっぱいだった。

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スッキリした、砂防林。

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作業終了後、カマはキレイに洗って、ケアして戻します。

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終了後、スタッフさんがくださった甘いものが、すごく美味しく感じられました。


■好奇心でやってみても、いいのかもしれない

いや本当、面白かった。
ボランティアって、なんだか「楽しんではいけないんじゃないか?」と思ってしまうのだが、そうじゃないのかもしれない。
だって…。でかいカマを持てて、海のそばの森林で汗を流して、いいエクササイズして、おいしくお弁当を食べて、知らない人とお話して、森の勉強会も付いてて、って、今回は、ボランティアというより、ワークショップに近かった。
もちろん、参加者に配られるパンフレットを読めば、日本の森をケアしないと、どうしようもないという深刻な現実が分かる。今のボランティアの人数では、やってもやっても終わらない作業が山積みだ。だからもちろん、真面目に取り組まなければいけないんだけども、
「地方で一泊するボランティアのコースもあって、作業後の、夜の飲み会が楽しいんだよ!」
なんて話を、常連スタッフさんにきくと、「やっぱり楽しい部分もあるんじゃないですか!」と思ってしまった。
まずはキッカケとして、好奇心で、参加してみてもいいと思う。

しかし、何だろう、道具が使えるスタッフの皆さんは、本当にカッコ良く見えた。
でかい枝も、バッサバッサと切ってしまう。無駄のない動きが美しい。
「刃物が適切に使える男」って、絶対にモテポイントが高い 。

カップルでボランティア参加したら、彼氏の「サバイバル能力」が分かってしまうかもしれない。
うーん、森ではいろんなことが分かってしまう気がする。

みんな、とりあえずいっかい、森に行くべきですよ!

取材協力:地球緑化センター
さまざまな種類の、森林ボランティア情報が載っています。参加してみたいものを探して、チェックしてみてください(今回取材した湘南ボランティアは、4/24、5/15、6/26開催。参加者募集中です!)。

【参考サイト】
特定非営利活動法人「地球緑化センター」

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大塚 幸代

大塚 幸代(おおつかゆきよ)
ライター。現在「東京女子プロジェクト」に参加中。
> 個人サイト 日々の凧あげ通信


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