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興毅陥落…判定に不服、史郎氏爆発

 5回、ポンサクレックの右アッパーを浴びる興毅(左)(撮影・吉澤敬太)
 5回、ポンサクレックの右アッパーを浴びる興毅(左)(撮影・吉澤敬太)

 「WBC世界フライ級王座統一戦」(27日、有明コロシアム)

 正規王者・亀田興毅(23)=亀田=が、暫定王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(32)=タイ=に0‐2の判定で敗れ、王座から陥落した。5回にバッティングで右目上を切って劣勢に立ち、中盤まで老かいなベテランにほんろうされた。プロデビューして以来、初の黒星で連勝は「22」でストップし、通算23戦22勝(14KO)1敗となった。試合後、亀田ジムは採点を不服とし、再戦を要求した。

  ◇  ◇

 判定結果を聞いた興毅は素直に現実を受け入れた。深々と四方に頭を下げ、両手を合わせた。0‐2の判定負け。深くカットした右目上からは鮮血がしたたった。プロデビューしてから初の黒星に、うなだれながらリングを後にした。

 カウンター戦法が裏目に出た。序盤、引いて待った興毅だったが、ポンサクレックはガードの間から軽打を打ち込んだ。後手に回り、右ジャブが思うように出なかった。右ジャブで活路を見いだし、左のカウンターを狙う戦法が完全に崩れた。

 初めて拳を交えてから7年間、ポンサクレックの背中を追い続けた。過去17度の防衛を果たした名王者の壁は高かった。興毅にカウンターを打たせない高等技術、着実にポイントをとる老かいさに屈した。5回にカットした右目上の流血も苦戦の要因となった。

 試合後、父・史郎氏が採点に関して不満を爆発させた。日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛事務局長を控室に呼び、どなりつけ、室内で椅子を蹴り上げた。史郎氏の説明によると、控室を訪れたレフェリーのガルシア氏が「5回に本来ならばポンサクレックにバッティングで2度の減点が科されるはずだった」と明言。しかし、安河内事務局長が見逃し、1点の減点のみとなったという。

 史郎氏は「レフェリーが2点減点と言ったのに、安河内が見逃して1点の減点になった。安河内は謝ったけど、俺は絶対に許さん。絶対にくびや。俺が首取ったる。俺はもうどうでもええんや」とほえまくった。

 これに関して安河内事務局長は「2度目のバッティングは2人ともカットしたのでルール上、減点はない。私は(史郎氏に)レフェリーのミスであったならあやまらなければいけないと言っただけです」と説明した。

 今後に関して史郎氏は「もう一回再戦する」と明言し、再戦に向けて行動を起こす。興毅は試合後、無言のまま会場を後にした。WBC世界フライ級最強を決める一戦は、後味の悪い結末となった。

(2010年3月28日)
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