名古屋市熱田区の男女3人死亡ひき逃げ事件で、危険運転致死容疑で逮捕され処分保留になっていた同乗者の男3人について、名古屋地検は26日、容疑不十分で不起訴処分とした。危険運転致死罪で起訴された運転手との共謀を立証する証拠がないと判断した。
不起訴処分になったのは、いずれもブラジル国籍の矢坂エドアルド(32)▽カブラル・エウェルトン・フェレイラ(31)▽マルシオ・アントニオ・ツノ(35)--の3容疑者。
事故は2月1日午前0時55分ごろ、名古屋市熱田区六番の国道1号交差点で起きた。地検は先月、赤信号を故意に無視して交差点に進入したとして、運転していたロシェ・デ・フレイタス・ファブリシオ被告(26)を危険運転致死罪で起訴。一般的に運転手の責任を問う同罪を同乗者にも適用できるかが焦点だった。
愛知県警は、カーナビ盗目的で車を物色していたとみられる4人が「警察に追われたら赤信号でも逃走する」と申し合わせていたとみて、共謀関係が成立すると判断。3人を逮捕した。しかし、その後の調べで車内の状況について4人の供述が食い違い、3人がロシェ被告に信号無視を働きかけたことなどを示す証拠が得られなかった。
4人はいずれも事故車両とは別の車を盗んだとして窃盗罪で起訴されている。
不起訴を受け、死亡した三輪真理子さん(29)の父良一郎さん(62)は、「法律のプロが無理というなら仕方ないが、同乗者の罪を問えないのは納得できない。残念だ」と話した。【山口知】
毎日新聞 2010年3月27日 2時05分