事件・事故・裁判

男性が刺された現場付近を調べる捜査員＝東京都福生市で２０１０年３月２７日午前１時４７分、尾籠章裕撮影

　東京都福生市で２６日夜、男性が刃物で刺され死亡した事件で、警視庁福生署は２７日、住所・職業不詳、金子正樹容疑者（２５）を殺人容疑で緊急逮捕した。捜査１課などによると、金子容疑者は「おれはやっていない」と容疑を否認しているという。

　逮捕容疑は、２６日午後１０時半ごろ、福生市福生の歩道を歩いていた浜中優太さん（２２）に「どこ見てんだ。刺してやるぞ」などと車で追い抜きざまに因縁をつけ、持っていた刃物で左胸など数カ所を刺し、殺害したとしている。免許証には墨田区の住所が記されているが、職業や住所については話していないという。凶器は発見されていない。

　金子容疑者は事件後、車で逃走。福生署が行方を追っていたところ、約４キロ離れた瑞穂町箱根ケ崎の飲食店駐車場に現場で目撃されたナンバーの車が止まっているのを発見。店内にいた金子容疑者の顔や服装が目撃情報と一致したため、２７日未明に緊急逮捕した。

　福生署などによると、浜中さんは同窓会を終え、友人の男性（２２）と２人で肩を組みながらＪＲ青梅線福生駅近くの歩道を歩いていて突然刺された。友人は「やめろ、やめろ」と押さえこもうとしたが、金子容疑者は振り払い、さらに数カ所を刺し逃走したという。

　福生署には同級生十数人が駆け付け「なんで優太が……」と言葉を失った。「うわー」と号泣している女性もいた。現場近くの女性従業員（２１）は「男の怒鳴り声が聞こえ、若い男性が『腹を刺された。事件だ』と叫んでいた。倒れている人はぴくりとも動かなかった」と青ざめた表情で話した。【神澤龍二、山本太一】