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【格闘技】

亀田興毅が初めて負けた 父・史郎氏が採点に大激怒

2010年3月28日 紙面から

判定でポンサクレックに敗れリング上でファンに謝る亀田=有明コロシアムで(武藤健一撮影)

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◇WBC世界フライ級タイトル戦

(27日・有明コロシアム)

 亀父、大暴走!−。WBC世界フライ級正規王者で亀田3兄弟の長男・興毅=亀田=が、暫定王者ポンサクレック・ウォンジョンカム=タイ=に0−2の判定負け。プロ初黒星を喫し、王座から陥落した。これに対し、父の史郎氏は「採点がおかしい」と大激怒。試合中に王者側に2度バッティングがあったことで、減点を「1」ではなく「2」だと主張した。控室にこもること30分。JBC安河内剛事務局長に対し、「テープとってる。全部ぶちまけたるからな。クビやからな!」と罵声を浴びせ倒す、前代未聞の幕切れとなった。

 興毅は判定を聞くと、天を見上げた。「ゴメン…」と手を合わせ、リング四方の観客へ深々と頭を下げた。プロ23戦目の初黒星。潔く敗戦を受け入れた。17度の防衛を果たしたかつての名王者に翻弄(ほんろう)された。

 序盤から、カウンターを狙うあまり、手数が出なかった。前に出てくるポンサクレックに対し、後ろに下がる場面が目立った。5回にはバッティングで右目じりを流血。8回の公開採点で1−2となり、劣勢を覚悟。終盤は前へ出るシーンもあったが、届かなかった。

 8年越しの決着戦だった。02年11月、04年2月と2度にわたりスパーリング。興毅にとってポンサクレックは、避けられない相手だった。

 試合後はノーコメントで会場を後にした。大激怒の父とは対照的に、どこかサバサバした表情。今後は3階級制覇を目指すのか、ポンサクレックとの再戦に挑むのか−。 (森合正範)

◆控え室で怒号、罵声

 史郎氏はセコンドライセンス無期限停止中。だが、興毅と控室に入ると、立会人を務めたJBC安河内事務局長に怒りを爆発させた。途中、タイの立会人とジャッジも加わること30分。怒号、罵声(ばせい)、バーンと何かをける音が鳴りやまず。控室から叫びが聞こえてきた。

 史郎氏「もう辛抱できない。オレはどうなってもいい。子供のけんかちゃうぞ! あんな採点あるんか! 日本人やで。興毅はチャンピオンやで。ホームタウンや。オレはおまえと話したこと全部テープとってる。言い訳するな。全部ぶちまけたるからな」

 5回、偶然のバッティングで興毅は右目じりから流血。ポンサクレックは減点1となった。その後、両者は再びバッティング。史郎氏によると、その際、レフェリーは再びポンサクレックの減点1をジャッジに通告。だが、安河内氏が認めず、もみ消したという。

 史郎氏「なんで見て見ぬふりするんや! おどれの首とってやるぞ。おまえ、オレを怒らしたからもう終わりじゃ。こんなジャッジおかしすぎる。バーン!(何かをける音)。言い訳するな。男だろ! スーパーバイザー連れて来い! 落ち着いていられるか」

 史郎氏によると、安河内氏は減点を認めなかったことに「すいませんでした」と謝罪したという。安河内氏が控室を後にすると、史郎氏は報道陣の前に現れ、殺気を漂わせ、一気にぶちまけた。

 史郎氏「今の採点、安河内と話したけど、レフェリーは減点2回とっている。確認とったら、『2回減点とりました』と。なしになってる。安河内は『申し訳ない』と言ったけど、展開変わっているやろ。昨日の夜、タイ陣営がタイのスーパーバイザーのホテルへ訪れとった。(見張りをしていた)五十嵐(会長)が見とる! 安河内に許可もらったと言っている。それでこういう採点出た。あした安河内のことで話すつもり。我慢してきたから。このままでは引き下がらへんし、再戦やるし、責任とってもらう! クビやから。絶対そうするから、『すいません』じゃすまんからな」

 前代未聞の“暴露”を予告。帰途につくまで、史郎氏の暴走は止まらなかった。

 

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