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きょうの社説 2010年3月28日
◎航空機産業 成長戦略の主翼になりうる
国内外の航空機需要の好転に伴い、北陸の製造業にも工作機械や工具などの受注が増え
てきたのは、航空機産業のすそ野の広さをあらためて示すものである。米国で開発中のボーイング787は機体の35%を日本が分担生産し、年内に納入が始 まる見通しになった。日本初の国産ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」は2014年度から空を飛ぶ。世界の航空機需要は今後も拡大が見込まれ、航空機産業が活発化すれば、北陸にも一層の波及効果が期待できる。 素材から工作機械、電子部品などの最先端技術を結集させる航空機産業は、これからの 「技術大国」日本のシンボルになりうる分野である。政府が6月に策定する成長戦略でも、ものづくりの「主翼」と位置づけ、国際競争力を高める道筋を示してほしい。 北陸では、ボーイング787関連の仕事が動き出し、切削機械や炭素繊維の加工機、工 具などの受注が相次いでいる。航空機の部品点数は数百万点に及び、自動車よりも2けた多い。機体の生産が増えれば、関連メーカーの設備投資が活発になり、加工機械から工具類まで連鎖的に仕事が拡大するのが航空機産業の特徴である。 787は昨年12月にテスト飛行を実施し、本格生産へ大きく踏み出した。三菱重工を 中心に開発が進むMRJも米国から百機を受注するなど販売が軌道に乗り始めた。プロペラ機のYS11以来、約40年ぶりの国産旅客機誕生に合わせ、航空機産業のすそ野をさらに広くし、全体を底上げする長期的な戦略がいる。 航空機に用いられたチタン合金が自動車や骨折治療器具に採用され、航空機用のブレー キシステムも新幹線や自動車に転用されるなど、航空機の技術は多くの産業に波及する。特殊な材料の加工技術は、より高品質の製品を生み出す基盤でもある。製造業全体を高度化させる点でも航空機産業の育成は極めて重要である。 全国各地で航空機分野への参入を目指すグループが発足し、地域間競争も激しさを増し ている。製造業が集積する北陸にもまだまだチャンスはある。行政も地元企業の支援策に知恵を絞ってほしい。
◎北教組違反事件 「処分なし」とは驚いた
政治資金規正法違反事件で陣営幹部が起訴されたというのに、本当に「処分なし」で済
ませてよいのだろうか。鳩山由紀夫首相は会見で、小林千代美民主党衆院議員の処遇について、処分などは考えていないと述べた。内閣支持率の急落に強い危機感を示しながらも、肝心の「政治とカネ」の問題にけじめを付けるつもりはないようだ。どこまで身内に甘いのか、あきれるばかりである。小林議員は立件こそ見送られたが、札幌地検の事情聴取を受けている。控訴中の選挙対 策委員長代行の有罪が上級審で確定すれば、検察側は連座制の対象として、小林議員の当選無効を求める訴訟を起こすだろう。そんな状況下で、政治的・道義的責任を一切問わないという姿勢では、国民の理解が得られるとは思えない。 今、小林議員の責任を問えば、鳩山首相や小沢一郎幹事長らトップ2人の問題にはね返 ってくることを恐れているのだとしたら、事態はより深刻だ。新たな不祥事やスキャンダルが発覚してもだれも責任を取ろうとしなくなるだろう。今ここで「無責任の連鎖」を断ち切らねばならない。 鳩山首相は小林議員が議員辞職や離党を否定した直後、処分を検討する考えを示してい た。それなのに小沢幹事長が「(進退は)自分自身で考えるべきだ」と述べると、あっさり前言を翻し、黙ってしまった。言葉の軽さ、発言のブレは相変わらずである。 小林議員は一切の事実関係について説明責任を果たしていない。労組の支援を得ている 議員は、民主党内にも多数いるのだから、疑惑の核心というべき労組との関係について自ら語るべきだ。 民主党では、解任方針が決まっていた生方幸夫副幹事長が一転して留任となる騒ぎもあ った。処分が腰砕けになったのは、世論の批判が厳しく、参院選への影響を恐れたからだろう。小林議員がおとがめなしで、小沢幹事長を批判しただけの生方副幹事長が解任では、著しくバランスを欠いていた。自由な論議を認めず、言論を封殺するような行為は、まっとうな民主政党のすることではない。
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