ヒット曲「大都会」で知られるバンド「クリスタルキング」のメンバーで低音パートのボーカル吉崎勝正(61)らが、高音パートで97年に脱退した元メンバー田中雅之(58)に対し商標権侵害などを訴え、バンド名の使用禁止や損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、請求を棄却した。
大鷹一郎裁判長は、脱退した田中が、2008年のコンサート出演を宣伝する新聞広告に「大都会 田中雅之(クリスタルキング)」と表記した点について「掲載時ではなく、曲がヒットした当時の所属バンド名を説明した」として、商標権侵害には当たらないと判断した。
一方で、田中が脱退後の1998年ごろ、テレビ番組などで「クリスタルキングは解散した」と発言したのを「吉崎さんの活動に支障を来す虚偽の事実の流布」と認め、不正競争防止法違反に当たると判断。しかし、時効で損害賠償請求権は消滅していた。
田中側はクリキンを名乗っているのではなく、経歴としてあげているだけと主張していた。田中は86年に脱退後、一時復帰したが、再び97年に脱退した。