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ため息の漁師 「海の幸」が一転して産廃に

廃棄するため、津波で絡まった漁具を運ぶ岩手県大槌町の漁師
廃棄するため、津波で絡まった漁具を運ぶ岩手県大槌町の漁師
Photo By 共同

 巨大なクレーンが海中から次々と黒い塊を引き上げる。絡まり合ったコンブ、ホタテ、カキ…。腐敗した「海の幸」は産業廃棄物として処分するしかなくなった。「飯の種が消えた」。ため息をつきつつも、黙々と作業をする漁師たち。チリ大地震に伴う津波の被害に見舞われた岩手、宮城両県をまたぐ三陸海岸の現場を歩いた。

 宮城県気仙沼市の漁港を小船で出発。湾内では、台船に積んだクレーンで撤去作業に取り組む漁業者らの姿が見えた。大量のコンブが、浮きとして利用されていたペットボトルとともに海中から姿を現す。「あと1カ月で収穫だった」。案内してくれた元漁師小野寺哲男さん(61)がつぶやいた。

 陸に引き上げられたコンブの山。「20トン以上はある」(漁師の男性)。地元漁協は撤去費用に約6700万円を計上した。大半は市と県が補助するが、支所長阿部誠さん(53)は「漁協の負担も少なくない。生のコンブの処理は産廃業者に嫌がられる」と表情は暗い。

 岩手県大槌町でもクレーンによる撤去が始まっていた。岸壁には、死んだホタテの稚貝が入った大量のカゴが山積みに。「全部廃棄するしかない」。漁師の男性(63)は壊れたカゴから稚貝を取り出していた。

 宮城県の気仙沼水産試験場が津波後に撮った海中写真は、ホタテやカキを付けてまっすぐ海底に伸びているはずの養殖ロープが「あや取りの糸のように」(試験場)絡み合っている様子をとらえていた。引き上げて収穫するのは不可能な状態で、密着した貝は酸素を得られずに窒息死した。

 試験場関係者は「普通の波ではこうはならない。海中で渦巻きのようなうねりが発生したのかもしれない」と分析する。

 2003年の十勝沖地震で養殖施設の大半が壊れた岩手県宮古市の漁協は、翌年から打ち込み式のいかりを導入。ブロックを沈める方式が中心の気仙沼市などと比べ、今回は軽微な被害で済んだ。だが、打ち込み式は高価な上、砂利の海底などでは使えないため「全部を打ち込み式にかえるのは難しい」(気仙沼市の漁協)のが実情だ。

 「死傷者がいなかったというだけで、津波被害が軽く見られている」。大槌町で作業に立ち会った関係者は、いら立たしげに話した。

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