車を乗り替えることになった。入社当初から乗っていた車のエンジンがまったく動かなくなったのだ。2代目となるのは、中古の国産車だ▼低予算で紹介してもらいながら、ちょっと値切ろうとした。きっぱり断られた。そして、「それよりも、大切に乗ってあげて下さい」と言われた。思い返せば、初代は「武骨」と評されたグレーの車体にぶつけたり、こすったりした生傷が絶えず、メンテナンスもなおざりだった▼どれだけ乗り続けられるかは、これまでの走行距離よりも、エンジンオイルや消耗する部品の交換などのメンテナンス次第だという。業者の真剣なまなざしに強欲だった自分を恥じ、初代の分まで2代目を愛すると誓った。【馬渕晶子】
毎日新聞 2010年2月13日 地方版